ミヤコイバラ(読み)みやこいばら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミヤコイバラ」の意味・わかりやすい解説

ミヤコイバラ
みやこいばら / 都茨
[学] Rosa paniculigera Makino et Momiyama

バラ科(APG分類:バラ科)の落葉低木。全体がフジイバラによく似る。他物に寄りかかって上る性質があり、鉤(かぎ)形の刺(とげ)がある。本葉は長さ5~12センチメートルで、表面は深緑色、裏面は淡青白色、光沢は少なく、両面ともに無毛であるが、葉軸および中央脈に小刺と腺毛(せんもう)がある。小葉は5~9枚で、倒卵状楕円(だえん)形。托葉(たくよう)はなかば以上合生し、離生部は先が鋭くとがり、全縁で縁(へり)に腺毛がある。5~7月、円錐(えんすい)花序をつくり、径約2センチメートルの純白色花を多数開く。花柄は細く長さ10~20センチメートル、小花柄は1.5センチメートルで、刺毛と腺毛がある。萼(がく)は卵形で先は鋭くとがり、縁は細かく切れ込み、内外面ともに綿毛がある。花弁は5枚、倒卵形で先はへこむ。雄しべは多数で葯(やく)は黄色。花柱は毛を密生する。果実は扁球(へんきゅう)形で長さ6~7ミリメートル。低山地などの乾いた所に多く生え、北陸、近畿中部、中国地方、四国北部、九州北部に分布し、関東、東北地方、北海道にはない。

鈴木省三 2020年1月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のミヤコイバラの言及

【ノイバラ】より

…そのうち,本州,四国および九州で,ノイバラとならんで普通にみられるのがテリハノイバラR.wichuraiana Crép.(英名memorial rose)で,茎ははい,葉はより厚く光沢があり,花はノイバラより大きく径3cmになり,海岸や荒地に多い。関東地方西部以西と四国の山地に生えるフジイバラ,九州まで分布するモリイバラ,近畿地方,四国および九州の太平洋側に多いヤブイバラ(ニオイイバラともいう),それに北陸,近畿および中国地方と四国や九州の北部にあるミヤコイバラは互いによく似ており,別種にされることもあるが,R.luciae Franch.et Rochebr.にまとめられて,それぞれ変種として取り扱われることもある。そのほか,低地に生えて花の大きいものにヤマイバラR.sambucina Koidz.があり,本州中部地方南部から九州まで分布するが,多くない。…

※「ミヤコイバラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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