改訂新版 世界大百科事典 「ミヤマコウゾリナ」の意味・わかりやすい解説
ミヤマコウゾリナ
Hieracium japonicum Fr.et Sav.
高山帯の乾燥した草原に生えるキク科の多年草。本州中部以北の高山および四国の剣山に分布。地下茎により栄養繁殖を行う。茎は高さ30cm内外。へら形の根出葉がよく発達し,花時にも宿存する。茎葉は小型で少なく,基部はやや茎を抱く。茎や葉には長く開出する汚褐色の粗毛と短い腺毛があり,コウゾリナに似るが,別属である。切ると白色の乳液が出る。7~8月ころ,茎の先に黄色の頭花を数個つける。頭花は舌状の両性花のみからなり,径1.5~2cm。総苞は帯黒色で,やはり有毛。果実は円柱形の瘦果(そうか)で,汚褐色,剛毛状の冠毛があり,風により散布される。
ミヤマコウゾリナ属Hieracium(英名hawkweed)は,ヨーロッパを中心に世界に約800種あり,日本には他にヤナギタンポポH.umbellatum L.が日本全土に産する。また,橙赤色の頭花をつけるコウリンタンポポH.aurantiacum L.が,ヨーロッパから北海道,東北地方に帰化している。
執筆者:森田 竜義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報