日本大百科全書(ニッポニカ) 「コウゾリナ」の意味・わかりやすい解説
コウゾリナ
こうぞりな
[学] Picris hieracioides L. subsp. japonica (Thunb.) Krylov
山野に普通に生えるキク科(APG分類:キク科)の二年草。ロゼットで越冬し、春に茎を伸ばして高さ30センチメートルから1メートルになる。葉はへら形。切ると白色の乳液が出る。全体に褐色で鉤(かぎ)状の剛毛があり、ざらざらした感触から顔剃菜(かおぞりな)あるいは剃刀菜(かみそりな)とよばれたものが転じてコウゾリナになったといわれる。5~10月にかけ径2~3センチメートルの、舌状花のみからなる黄色の頭花を多数つける。痩果(そうか)は赤褐色で、汚白色の冠毛があり、風散布される。樺太(からふと)(サハリン)から九州、中国にも分布する。ゆでた若菜は食用となり、家畜の飼料にも適する。カンチコウゾリナは本種の高山型で、丈が低く、総包は黒色で、濃黄色の花をつける。
[森田龍義 2022年2月18日]