ムカゴトラノオ(その他表記)Bistorta vivipara(Ploygonum viviparum); bulbiferous knotgrass

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムカゴトラノオ」の意味・わかりやすい解説

ムカゴトラノオ
Bistorta vivipara(Ploygonum viviparum); bulbiferous knotgrass

タデ科多年草北半球寒帯に広く分布し,日本では北海道や本州中部以北の高山日当りのよい場所に生える。根茎は短い塊状で,10~60cmほどの分枝しない茎を直立する。根出葉は披針形ないし長楕円状披針形全縁で,長い葉柄は鞘状になり茎を抱く。茎葉には短い柄がある。葉は厚く上面は深緑色,下面は白色を帯びる。夏,茎の先端に長さ 10cmほどの細い穂状花序を出し,5枚の萼片のある白色小花を多数つける。花序の下方には珠芽 (むかご) を生じ,落ちるとすぐに新苗となり繁殖するのでこの和名がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムカゴトラノオ」の意味・わかりやすい解説

ムカゴトラノオ
むかごとらのお / 零余子虎尾
[学] Bistorta vivipara (L.) Delarbre
Polygonum viviparum L.

タデ科(APG分類:タデ科)の多年草。根茎は太く、短い。根出葉は長柄があり、披針(ひしん)形で先はとがるか丸みを帯び、表面はやや光沢があり、細脈が著しい。茎葉は茎を抱かない。7~8月、細い穂状花序をつくって淡紅色花を開き、下部にむかご(珠芽)をつくる。高山に生え、中部地方以北の本州、北海道、および北半球の寒地、および高山に分布する。

[小林純子 2020年12月11日]


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世界大百科事典(旧版)内のムカゴトラノオの言及

【氷河植物群】より

…この植物群は,その代表的植物のチョウノスケソウDryas octopetala L.の名をかりてドリアス植物群Dryas floraと呼ばれることもある。ムカゴトラノオBistorta vivipara S.F.Gray,マルバギシギシOxyria digyna Hill,ヒメカンバBetula nana L.など,今日,北極圏やヨーロッパ・アルプス,ロッキー山脈に見られる植物が,この植物群を指標し,中緯度地方の高山植物群の主要な構成要素をなしている。【河野 昭一】。…

※「ムカゴトラノオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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