改訂新版 世界大百科事典 「むかご」の意味・わかりやすい解説
むかご
bulbil
オニユリ,シュウカイドウ,ヤマノイモなどでは,地上の茎の葉腋(ようえき)にある芽が肥大して,球根と同様の性質をもつ塊状組織を形成する。この塊状組織がむかご(零余子)で,珠芽とも呼ばれ,これを採取してまくと,数年のうちにりっぱな球根やいもになるので,繁殖に用いられる。むかご繁殖を行う場合には,大きなむかごを作ることが必要で,そのため,親株のつぼみを小さなうちに摘みとったり(オニユリ),腋芽を遮光したり,つるを下垂させたりする(ヤマノイモ)。一方,地下の茎の節にある芽が肥大して塊状となったものは木子(きご)と呼ばれ,これを採取して植えつければ,やはり数年で球根になる。このため,木子を着生するユリやグラジオラスでは,木子を利用して繁殖を行うことがある。
執筆者:杉山 信男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報