ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムハンマド6世」の意味・わかりやすい解説
ムハンマド6世
ムハンマドろくせい
Muḥammad VI
モロッコ国王(在位 1999~ )。本名 Muḥammad ibn al-Ḥasan。ラバトのムハンマド5世大学で,1985年に法学の学士号を,1988年に公法の修士号を取得した。1980年代末にごく短期間,ベルギーのブリュッセルにあるヨーロッパ委員会本部で学んだ。その後フランスのニース大学に入学,1993年に法学博士号を取得。アラビア語とフランス語の両方で教育を受け,文学と芸術に興味をもつ。しだいにモロッコの王位継承者として父ハッサン2世の任務を肩代わりするようになり,1990年代に国王が健康を害すと,内外の政治的な会議や儀礼において国王の名代を務めた。1999年7月23日にハッサン2世が死亡すると,ただちにムハンマド6世として即位した。なお,個人的な友人でもあるヨルダンのアブドゥッラー2世と,バーレーンのハマド首長も,ともに 1999年に父の死をうけて即位している。38年間にわたってモロッコを統治したハッサン2世は,アラブ諸国間やアラブ世界と西洋との関係緩和に尽力した人物として知られた。その死とムハンマド6世への王位継承は,多くのアラブ世界でみられる世襲による権力移譲と受け止められた。
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