ムハージルーン(英語表記)muhājirūn

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムハージルーン」の意味・わかりやすい解説

ムハージルーン
muhājirūn

「移住者」を意味するアラビア語ムハージル muhājirの複数形。 622年預言者ムハンマドに従ってメッカからメジナに移住 (→ヒジュラ ) した 70名余が,ムハージルーンと呼ばれ,歴史上の用語となった。このときメジナの住民でムハンマドとムハージルーンを受入れ援助した人々をアンサールといい,ムハージルーンとアンサールが勃興期のイスラム国家の構成員となった。その後,メッカからの移住者,アビシニア (エチオピア) に移住していた初期の信徒,近隣のアラブ諸族からの移住者もムハージルーンとしてメジナ社会に定着し,ムハンマドの晩年にはムハージルーンは 1000名をこえた。ムハンマドの死後,イスラム国家の指導権をめぐってアンサールとムハージルーンが対立する一幕もあったが,結局ムハージルーンが指導権を握り,初代から第4代までの正統カリフはムハージルーンの間から選ばれた。大征服時代,各地に建設された軍事都市 (→ミスル ) に移住した人々もムハージルーンと呼ばれ,アラビア半島で遊牧生活をしていたアラブが,戦士としてミスルに定着するようになった。

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