ミスる(読み)ミスル(英語表記)miṣr

デジタル大辞泉 「ミスる」の意味・読み・例文・類語

ミス・る

[動ラ五]《「ミス(miss)」の動詞化》ミスを犯す。失敗する。「肝心なところで―・った」

ミスル(Miṣr)

エジプト」の現地での呼称

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精選版 日本国語大辞典 「ミスる」の意味・読み・例文・類語

ミス・る

  1. 〘 自動詞 ラ行五段活用 〙 ( ミスは[英語] miss ミスの動詞化 ) ミスする。失敗をする。しそこなう。「ぼんやりしてスペリングをミスった」

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改訂新版 世界大百科事典 「ミスる」の意味・わかりやすい解説

ミスル
miṣr

イスラム初期に征服地に建設された軍営都市。複数形はアムサールamṣār。アラブ・ムスリムの勢力が,アラビア半島の外へと拡大し各地を征服した時に,征服地の統治の拠点として,またその後の征服活動の基地として軍営都市が建設された。イラクバスラクーファ,エジプトのフスタート,チュニジアカイラワーンなどは,新たに建設されたミスルの代表的な例である。またシリアダマスクスヒムスでは,既存の都市の一部を,住民を移転させてアラブ軍の駐屯地とした。これもミスルと呼ばれている。ミスルにはアラブのみが居住して,他の人々は排除された。これは地元の住民とアラブを隔離することにより,征服民族としてのアラブの優越性を維持しようとしたためだと説明されている。しかし住民のイスラムへの改宗が進むと,マワーリーとして多くの非アラブがミスルに入り込み,後にはすっかり混住してしまい,アラブの軍事都市としてのミスルの特徴は失われてしまった。ミスルあるいはマスルはエジプトを指す固有名詞としても使われている。またエジプトの中でも,カイロと対比してとくにフスタートを指して使われることもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミスる」の意味・わかりやすい解説

ミスル
al-Miṣr

エジプトまたはカイロをさすアラビア語。元来ミスルはアラビア語で「町」を意味する。『創世記』に登場するノアの孫にあたるミズライムの名によって名づけられたという。7世紀前半,イスラム・アラブ軍が西アジア,北アフリカを征服したとき,各地に軍事都市を建設してアラブ軍戦士を駐屯させた。イラクのクーファ,バスラ,エジプトのフスタートなどがそれで,これがミスルと呼ばれた (複数形アムサール amṣār) 。またエジプトはアラブによってイスラム前からミスルと呼ばれており,アラブ征服以後はエジプトのアラビア語での国名となった。 969年カイロ市 (ミスル・アルカーヒラ) が建設され略称としてミスルが用いられるようになったのち,フスタートのほうは古ミスルと呼ばれるようになり,やがて首都カイロの別名がエジプト全体にも用いられるようになった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ミスる」の解説

ミスル
Misr

イスラーム時代初期につくられた軍営地・軍営都市
正統カリフ時代からウマイヤ朝の初期にかけて,アラブ人は征服地の戦略上の要地に戦士たちの駐屯する軍営地を築いた。軍営地の住民は当初アラブ人戦士その家族だけで,征服地の一般住民を隔離・支配していた。征服が一段落すると,各地方の行政と財政の中心地となり軍営都市に発展した。イラクのバスラ(638),クーファ(639),エジプトのフスタート(642),チュニジアのカイラワーン(670)などがその代表例。農村におけるイスラームへの改宗が進むウマイヤ朝後期になると,非アラブ人の改宗者(マワーリー)が軍営都市に移住してくるようになった。その結果,軍営都市は軍事・行政・財政の中枢といった役割にとどまらず,手工業の中心,市場,流通の核になっていった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ミスる」の解説

ミスル
miṣr

アラブの軍営都市。イスラーム初期の大征服に伴って各地に進出したアラブ戦士の集住地として設営された。既存の都市を用いたものと,新たに都市を建設したバスラクーファなどの例がある。戦士は,ディーワーンに登録され,アターを支給された。

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世界大百科事典(旧版)内のミスるの言及

【都市】より


[イスラム都市の形成]
 中世アラブの地理学者は,一地方の中心都市をカサバqaṣaba,それ以外の中小都市をマディーナmad‐īnaと定義する。しかし一般には規模の大小にかかわりなく,むらに対して経済・文化のかなめとなる都市を,アラブ世界ではマディーナあるいはミスルmiṣrといい,イランやトルコではシャフルshahrと呼ぶ。イスラム時代の都市には,ダマスクスやアレクサンドリアのように古代オリエントの都市をそのまま継承したものもあれば,イラクのバスラやクーファ,あるいはエジプトのフスタートのように大征服の過程で軍営都市(ミスル)として建設されたものもあった。…

【アラブ】より

…イスラムによって民族的アイデンティティを与えられたアラブは,ムハンマドの没後,カリフの指導のもとに大規模な征服を行い,大帝国を建設してその支配者集団となった。同時に多数のアラブ戦士が家族を伴って征服地に移住し,そこに築かれた軍営都市(ミスル)に住みついた。ウマイヤ朝の初期,アラビア半島から征服地に移住したアラブの数は最低に見積もっても130万に達したと推定され,彼らの住みついた軍営都市は周囲の非アラブ住民のアラブ化・イスラム化の拠点となった。…

【エジプト】より

…古代エジプト人は自国のことをケメトKemet(〈赤い〉砂漠に対する〈黒い〉土の国の意),タ・ウイTa‐wi(上エジプトと下エジプトの〈二つの国〉の意)などと呼んだ。ヘブライ語ではミツライムMiṣrayimと記され,現代アラビア語での名称ミスルMiṣrにつながる。 北アフリカの砂漠地帯を貫いて北流するナイル川がエジプトの生命線である。…

【カイロ】より

…アラビア語ではカーヒラal‐Qāhiraで,〈勝利者〉の意。ミスル・アルカーヒラMiṣr al‐Qāhiraあるいは単にミスルMiṣrともよばれた。ミスルは〈軍営都市〉もしくは〈エジプト〉をも意味する。…

【都市】より


[イスラム都市の形成]
 中世アラブの地理学者は,一地方の中心都市をカサバqaṣaba,それ以外の中小都市をマディーナmad‐īnaと定義する。しかし一般には規模の大小にかかわりなく,むらに対して経済・文化のかなめとなる都市を,アラブ世界ではマディーナあるいはミスルmiṣrといい,イランやトルコではシャフルshahrと呼ぶ。イスラム時代の都市には,ダマスクスやアレクサンドリアのように古代オリエントの都市をそのまま継承したものもあれば,イラクのバスラやクーファ,あるいはエジプトのフスタートのように大征服の過程で軍営都市(ミスル)として建設されたものもあった。…

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