ムーミン

デジタル大辞泉 「ムーミン」の意味・読み・例文・類語

ムーミン(Moomin/〈スウェーデン〉Mumin/〈フィンランド〉Muumi)

フィンランド童話作家トーベ=ヤンソン小説シリーズ。また、それに登場する妖精の名。1945年刊行の「小さなトロールと大きな洪水」をはじめとする小説9作のほか、作者自身が作画も手がけた漫画作品などがある。

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共同通信ニュース用語解説 「ムーミン」の解説

ムーミン

作家トーベ・ヤンソンさんが小説やコミックで描いたキャラクター。一般的には作品の主人公ムーミントロール」のことを指す。美しい自然に囲まれた「ムーミン谷」を舞台に、シルクハットが特徴的なムーミンパパや、自由と孤独を愛するスナフキンなど個性的なキャラクターたちが織りなす物語は世界的なヒットとなった。作品は40を超える言語に翻訳され、アニメやコミックの制作も相次ぎ、日本でも幅広い世代に人気がある。(クルーブハル島共同)

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知恵蔵 「ムーミン」の解説

ムーミン

トーベ・ヤンソンによる新聞連載マンガ及び童話の主人公。正式にはムーミントロール。
1914年8月9日、フィンランドの首都ヘルシンキで生まれたトーベは、グラフィックアーティストの母と彫刻家の父を持ち、芸術一家の中で育った。両親の姿は、童話の中のムーミンママとムーミンパパに重なり、一家が夏を過ごした島のサマーハウスでの記憶が、童話に反映されているとされる。
トーベは、商業デザインや美術、フレスコ画を始めとする伝統画法などを学び、画家イラストレーター、商業デザイナー、風刺画家、児童文学作家、絵本作家、作詞家、舞台美術家、小説家として活躍した。
ムーミンにつながる最初のイラストは、彼女が10代の頃、トイレに落書きした大きな鼻の生きもので、「スノーク」と書き添えられていた。34年、水彩画「黒いムーミントロール」を描く。鼻や体型はムーミンそのものだが、赤い目をした恐ろしい生き物として描かれた。トロールとは、北欧の神話に登場する醜い妖精である。
第2次大戦中、トーベは風刺画を量産し、その中にムーミントロールを登場させている。45年、童話の第1作『小さなトロールと大きな洪水』を出版。50年に発表した第3作『たのしいムーミン一家』が英訳されて英国で評判を得たことをきっかけに、54年からロンドンの夕刊紙「イブニングニュース」で週6日の連載マンガ「ムーミントロール」がスタートした。マンガは最盛期には40カ国、120紙に転載された。マンガの人気によって童話のムーミンも評判を呼び、44言語に翻訳されるまでになった。59年以降、連載は弟のラルス・ヤンソンに引き継がれ、60年から15年間、ラルスの作品として続いた。66年「国際アンデルセン賞」受賞。
童話の主な登場人物は、主人公のムーミントロールとその両親のムーミンパパ、ムーミンママ、ガールフレンドのフローレン、玉ねぎのような髪型と毒舌が特徴のリトルミイ、旅人のスナフキンなど。舞台となるムーミン谷に住む彼らの日常と冒険が物語となっている。69年、ムーミンは日本で初めてアニメ化され、65話がテレビ放映される。72年には52話、90年から92年にかけては104話が、日本で改めてアニメ化され放送された。90年からの最新のリメイク版では、トーベとラルスの監修によりオリジナルストーリーも多く作られ、フィンランドを始め約100カ国で放映されて、ムーミンブームを再燃させた。またポーランドでは、78年から82年にかけて全78話のパペット版アニメーションが制作され、日本語吹き替え版もDVDとBSテレビ放送で親しまれている。
70年、ムーミン童話の最終巻、第9作『ムーミン谷の11月』出版。2001年6月27日、トーベ死去。享年86。14年はトーベの生誕100周年に当たり、日本国内でも多くの記念行事が行われる。

(葛西奈津子  フリーランスライター / 2014年)

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改訂新版 世界大百科事典 「ムーミン」の意味・わかりやすい解説

ムーミン
Mumin

フィンランドの作家ヤンソンが《ムーミン谷の彗星》《たのしいムーミン一家》などの主役として創造した想像上の生きもので,頭がカバ,体がブタを連想させる。ムーミントロル,ムーミンパパ,ムーミンママとスノーク兄妹がこの仲間に属する。全8巻の〈ムーミン・シリーズ〉は,原始を思わせるムーミン谷を舞台に非凡な着想の物語によって,自然の神秘と人間の生きる姿をみごとに描き,1966年国際アンデルセン大賞を受賞。
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デジタル大辞泉プラス 「ムーミン」の解説

ムーミン

①トーベ・ヤンソンによるフィンランドの児童文学「ムーミン」シリーズのキャラクター。「ムーミントロール」とも。ムーミン族の男の子で、房のついたしっぽと丸い体が特徴。作品は子どもから大人まで世界中で幅広い人気を誇る。
②①を原作とする日本のテレビアニメ。放映はフジテレビ系列(1969年10月~1970年12月)。制作:東京ムービー(現:トムス・エンタテインメント)、虫プロダクション。1度目のアニメ化。再放送や映像化は行われていない。
③①を原作とする日本のテレビアニメ。放映はフジテレビ系列(1972年1月~12月)。制作:虫プロダクション。2度目のアニメ化作品で、②同様再放送や映像化は行われていない。「新・ムーミン」とも。

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世界大百科事典(旧版)内のムーミンの言及

【イスラム】より

…現在普通に認められているところでは,イスラームは唯一の神アッラーに絶対的に服従すること,イーマーンは心のうちなる信仰,ディーンは宗教一般,または内面的なイーマーンと外に現れたイスラームとを統一したものと解され,ミッラはアブラハムの宗教milla Ibrāhīmという言葉に典型的に示されているように,過去の特定の預言者の説いた教え,ないし,そのウンマ(共同体)への所属を意味すると考えられる。 これらの用語のうち,コーランで最も多く用いられたのはイーマーンであり,同時に,信者を意味する用語として最も多く用いられたのはムーミンmu’minである。イスラム時代の初期,イスラム教徒を意味する用語として普通に用いられていたのは,ムスリムではなくムーミンであった。…

【ムスリム】より

…本来アラビア語語根s‐l‐mの第4型動詞aslamaの能動分詞で,〈(神に)絶対的に服従する者〉を意味する。コーランでは,ムハンマドの説いた一神教の信者を指す言葉として,このムスリムと,語根’‐m‐nの第4型動詞a’manaの能動分詞ムーミンmu’minとが併用され,はるかに後者の頻度が高い。しかし,宗教を呼ぶ名としてのイスラムの確定とともに,イスラム教徒を意味するムスリムという用語も確定した。…

【ヤンソン】より

…フィンランドの女流童話・絵本作家。スウェーデン語で書いた空想の動物ムーミンを主人公にしたファンタジー童話〈ムーミン・シリーズ〉8巻(1945‐65)で国際的評価を得た。全員が弱点や欠点をもっているのに,互いの思いやりで,自由に,おおらかに自分らしく生きる世界をユーモラスに温かく描いた。…

※「ムーミン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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