改訂新版 世界大百科事典 「メクラカメムシ」の意味・わかりやすい解説
メクラカメムシ (盲亀虫)
plant bug
半翅目メクラカメムシ科Miridaeの昆虫の総称。本科のカメムシは複眼は発達するが,単眼を欠くのでこの名がある。触角は細長く4節。半翅鞘(はんししよう)には明りょうな爪状(そうじよう)部があり,楔状(せつじよう)部がよく発達。膜質部には2脈室がある。体長2~20mmで小型な種類が多い。肢は長い。よく飛翔(ひしよう)し,歩行する。跗節(ふせつ)は3節。主として植食性であるが,小昆虫を吸食する種類も知られている。農作物,果樹などの害虫が多いが,食虫性のものは害虫の天敵として利用されるものがある。世界に1000属約1万種。日本では約150種が分布。
モンキクロメクラガメDeraeocoris amplusは体長8~9mm。全体黒色で光沢が強く,楔状部のみが橙紅色。日本全国に分布し,ヨモギ類につく。クロマルメクラガメOrthocephalus funestusは前種より小さく,全体黒色で体表上に白い鱗片が散在し,雄は体型が細いが雌の翅は膜質部を欠き円く別種のようである。ミドリメクラガメ類Lygocoris spp.は一様に淡緑色で種類がきわめて多い。多くの害虫が知られている。分類が遅れ,日本の種類は今後,倍以上になりそうである。
執筆者:長谷川 仁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報