改訂新版 世界大百科事典 「メッケネム」の意味・わかりやすい解説
メッケネム
Israhel van Meckenem
生没年:1445ころ-1503
15世紀ドイツにおいて最も多作であった銅版画家,金工師。ボン近郊メッケンハイムMeckenheim生れ。ベルリン版画館蔵の〈受難図〉の版画家の子という有力な説がある。1465年ころから南ドイツにおいて活動を開始した。620点ほどのエングレービングの作品を残しているが,その大半は,E.S.の画家,ションガウアー,ハウスブーフの画家,ホルバイン(父),初期のデューラーの作品の模刻であり,その事実が彼の評価を実際以上に低めている。しかし,《ホロフェルネスの首を持つユディト》のように,彼の独創による秀作も少なくない。後期にはホルバイン(父)らの画家たちと提携して,彼らの下絵を版画化し,版画出版を業として初めて成功させた。また,妻イダを伴った自画像(1490年代)は,版画による自画像の最初期の作例である。
執筆者:八重樫 春樹
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