翻訳|Judith
《ユディト書》に語られるユダヤの英雄的女性。ユディトとは〈ユダヤの女〉の意味で,象徴的性格の濃い伝説上の人物と思われる。この美しい寡婦はネブカドネザル王の総大将ホロフェルネスHolofernesの率いるアッシリア軍に包囲された町ベトゥリアを救うため,きらびやかに身を飾り,召使い女一人を伴って敵陣を訪れる。4日目に,ホロフェルネスが彼女を誘惑しようとして開いた祝宴の後,酔いつぶれた彼の首を剣で切り落とす。これによってイスラエル人は危機を脱した。美術作品では,多くの場合,右手に剣を持ち,左手に敵将の首を髪の毛でもってつかんで立つ姿で表現される。中世においては,彼女は悪徳に打ち勝つ美徳の象徴とされた。ルネサンス以降,裸体のエロティックな姿で表現されることがある。ドナテロ,ボッティチェリ,ミケランジェロ,クラーナハなどに有名な作例がある。
執筆者:荒木 成子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
… 討ちとった敵将や罪人の首を,城壁や路上に見せしめのためにさらすことは,古くから各地にみられた。旧約聖書外典《ユディト書》は,ユディトが彼女の美しい容貌に惑わされた敵将ホロフェルネスを寝室で襲って首をはね,町の城壁にかけてアッシリア軍を敗北に追いやる話が主題である。なお文脈は違うが,同じく聖書では,ヨハネの首を欲したサロメの話もよく知られている。…
…アッシリア王ネブカドネザルの将軍ホロフェルネスHolofernesは,西方遠征中にユダヤ人の町ベトゥリア(架空の町?)を包囲した。陥落寸前,動揺する市民たちの中で,信仰深い寡婦ユディトが敢然と立ち上がり,敵陣へ赴き,美貌を利用してホロフェルネスを欺き,泥酔させて首をはね,アッシリア軍を敗退させ,町と祖国を救う。ユディトは〈ユダヤ人〉の女性形。…
※「ユディト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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