日本大百科全書(ニッポニカ) 「メネンデス・ピダル」の意味・わかりやすい解説
メネンデス・ピダル
めねんですぴだる
Ramón Menéndez Pidal
(1869―1968)
スペインの歴史家、言語学者。師メネンデス・イ・ペラーヨが開拓したスペイン文学、歴史研究の広大な領野をさらに専門的、学問的に掘り下げた。1910年「歴史学研究所」を創設、1914年弟子のカストロAmérico Castro(1885―1972)らとともに雑誌『スペイン言語学誌』を創刊、また2期にわたってスペイン言語アカデミー会長を務めるなど、20世紀前半のスペインの学界をリードした。数多くの優れた著作を遺(のこ)したが、なかでも『スペイン語歴史文法提要』(1904)、彼の名を一躍世界のロマニストの最先端に位置づけた『わがシードの歌研究』(1908~1912)、そして中世カスティーリャの全体像に鋭く迫った三つの作品、すなわち『スペイン語の起源』(1926)、『エル・シッドのスペイン』(1929)、『スペイン文学に見るカスティーリャ叙事詩』(1945、初出はフランス語版1910)などが有名。
[佐々木孝 2018年8月21日]
『ラモン・メネンデス・ピダル著、佐々木孝訳『スペイン精神史序説』(1974・法政大学出版局)』