米州全体の経済統合を目ざす貿易圏構想。略称FTAA。1998年4月18日~19日、チリのサンティアゴで開かれた米州34か国首脳会議(米州サミット、キューバのカストロ政権を除く)で、2005年のFTAA創設を目ざして交渉を開始することが本決まりとなった。FTAA創設は1994年の米州サミットで合意をみたが、二国間交渉方式を主張するアメリカと、アメリカ主導の北米自由貿易協定(NAFTA(ナフタ))に取り込まれることを警戒し、既存の地域的自由貿易圏を基盤とする相互取決めで南北アメリカ全体の自由貿易圏創設を目ざす中南米との対立で交渉のスタートが遅れていた。1997年夏の東南アジアの金融危機に始まる世界経済の先行き不安で、米州を一丸とする自由貿易圏創設の緊要性が認識され、二国間・多国間両様の方式での交渉開始が決定したのである。しかし、交渉分野によっては各国の意見の相違が大きく、2004年2月の貿易交渉委員会を最後に交渉は停止し、以降は消滅状態となっている。
[高橋 正]
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