NAFTA(読み)ナフタ

デジタル大辞泉 「NAFTA」の意味・読み・例文・類語

ナフタ【NAFTA】[North American Free Trade Agreement]

North American Free Trade Agreement北米自由貿易協定アメリカカナダメキシコの3か国による域内の貿易自由化をめざす協定関税の引き下げ・撤廃、金融サービス市場の開放、投資自由化などを内容とする。1992年に調印、1994年1月発効。

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精選版 日本国語大辞典 「NAFTA」の意味・読み・例文・類語

ナフタ【NAFTA】

  1. ( [英語] North America Free Trade Agreement の略 ) 北米自由貿易協定。アメリカ・カナダ・メキシコの三か国による域内の貿易自由化をめざす協定。一九九二年に調印、九四年一月発効。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「NAFTA」の意味・わかりやすい解説

NAFTA
なふた

アメリカ、カナダ、メキシコの3か国による自由貿易協定。North American Free Trade Agreementの略称。北米自由貿易協定ともよばれる。1992年に協定に署名し1994年に発効した。保護主義的なアメリカ大統領トランプの強い意向で、2018年に3か国はNAFTAを抜本的に見直すUSMCA(the United States-Mexico-Canada Agreement)に署名した。USMCAが発効すれば、NAFTAは効力を失う。

 NAFTAは北アメリカに自由貿易圏をつくることを目的とした地域協定で、1980年代にヨーロッパなどで進んだブロック経済化に対抗するねらいがあった。NAFTAの域内人口は4億9000万人(2017年、国連調べ)とヨーロッパ連合EU)に匹敵し、域内総生産(GDP)は約23兆4000億ドル(2018年、IMF調べ)とEUを超える。協定は22章からなるほか、「環境」と「労働」に関する補完協定がある。協定は域内関税や輸出入数量制限の撤廃(2008年に関税を撤廃)のほか、サービス・金融・投資の自由化、知的財産権の保護、紛争処理手続きなど多岐にわたる。NAFTA発効後、域内貿易額(1993年から2017年)は2962億ドルから1兆1201億ドルに増えたが、多くの企業が人件費の安いメキシコに生産拠点を移し、アメリカ産業の空洞化が進んだ。とくにメキシコでは、無関税で原材料・部品を輸入して組立て後に輸出するマキラドーラmaquiladoraが増え、アメリカの対メキシコ貿易収支(1993年から2017年)は16億ドルの黒字から711億ドルの赤字に陥った。このためNAFTA離脱・再交渉を公約に掲げて大統領選に当選したトランプがメキシコ、カナダ政府に迫り、3か国は新たなUSMCAに署名した。NAFTAの失効で、メキシコ経済が大きな打撃を受けるほか、日本やヨーロッパの企業は自動車産業を中心に生産拠点や調達先の見直しなど北米戦略の再検討を迫られる。短期的にはアメリカへの製造拠点回帰(リショアリングreshoring)が進むが、中長期的には保護貿易の影響で3か国の生産性が低下することが懸念される。

[矢野 武 2019年4月16日]

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「NAFTA」の解説

NAFTA

北米自由貿易協定。アメリカ、カナダ、メキシコ3カ国間で結ばれた経済協定。加盟国の関税の引き下げに始まり、金融・投資の自由化、知的所有権の保護などを取り決め、締結国間での貿易障壁を取り除き、より円滑な国間取引を行なうために作られた。約4億人の消費者を持ち、ヨーロッパ経済地域(EUとEFTAで構成)に次ぐ、世界第2位の自由貿易地域を形成している。北米自由協定成立以降、域内の貿易は拡大し、特にメキシコの発展に伴いアメリカとメキシコの貿易は大幅に拡大している。

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世界大百科事典(旧版)内のNAFTAの言及

【北米自由貿易協定】より

…1992年12月にアメリカ,カナダ,メキシコ3国間で調印され,各国での批准を経て,94年1月に発効した協定。略称NAFTA(ナフタ)。発効後10ないし15年以内に相互の関税を撤廃し,直接投資面での規制を大幅に引き下げることを目的としている。…

※「NAFTA」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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