改訂新版 世界大百科事典 「モニス」の意味・わかりやすい解説
モニス
Antonio Caetano de Egas Moniz
生没年:1874-1955
ポルトガルの脳外科,神経学者。アバンシャに生まれ,1891年,コインブラ大学入学。初めは数学を学んだが,後に医学に転じ,パリ,ボルドーに留学。1902年コインブラ大学教授,45年にリスボン大学教授となる。この間,1935年にリマAlmeida Limaとともに,はじめてロボトミーを行った。これは前頭-視床繊維を切断すると,不安が除去されるという仮説に基づいたものであった。彼はこのロボトミーと頸動脈撮影の業績によって,49年ノーベル生理・医学賞を授与された。
ロボトミーは1940年代から50年代にかけて,精神疾患に対して,その人格,行動を変化させることを目的に数多く行われたが,人権の問題との関連と医の倫理から,その後強い反対がなされたこと,精神疾患の治療の中心が薬物療法へと代わったことなどから,世界的に行われなくなっている。
執筆者:金子 嗣郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報