翻訳|lobotomy
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
精神障害,とりわけ統合失調症や人格異常による興奮などに対して行われた精神外科的手技である〈前頭葉白質切截術〉をさす。この種の精神外科は,すでにブルクハルトG.Burckhardt(1888)やダンディW.E.Dandy(1922)らによって試みられていたが,事実上の創始者になったのはポルトガルのモニス(1935)であり,1949年,彼は,この業績によってノーベル生理学・医学賞を受賞している。モニスは,精神病者の精神症状は前頭葉に至る神経経路を遮断することによって改善されると考え,前頭葉白質内への無水アルコールの注入による神経繊維の凝固,および白質切截器leucotomeによる手術法を明らかにした。しかしモニスの原法である前頭葉白質切截術frontal leucotomyはヨーロッパではあまり行われず,むしろアメリカにおいてフリーマンW.Freeman,ワッツJ.W.Wattsらによって発展させられた。日本では,とくに第2次大戦後の一時期,精神科の治療法の一つとして施行されていたが,向精神薬の導入や,脳に回復不能な影響を与えるだけに,とり返しのつかない後遺症をもたらし,治療効果にも疑問があることなどから,手術そのものへの厳しい批判もあり,行われなくなっている。
→精神外科
執筆者:武正 建一
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出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…モーニスは,精神病者の観念や常同行為は神経細胞間の異常なシナプス形成にあるとし,それらを遮断することが精神症状の改善につながると考えた。初期には前頭葉白質内に無水アルコールを注入し,神経繊維を凝固させる方法をとったが,後には白質切截器による手術(ロボトミー)を行うようになっている。この手術はヨーロッパよりむしろアメリカにおいて発展し,フリーマンW.FreemanやワッツJ.W.Wattsらの前部前頭葉白質切截術および標準白質切截術を生んだ。…
※「ロボトミー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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