モルトウイスキー(読み)もるとういすきー(英語表記)malt whisky

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モルトウイスキー」の意味・わかりやすい解説

モルトウイスキー
もるとういすきー
malt whisky

麦芽モルト)のみを原料とするウイスキーオオムギを発芽させて麦芽をつくり、乾燥時にピート泥炭)を燃やして薫香をつける。これを粉砕し、約4倍量の湯水を加え、60~65℃に保って糖化し、濾過(ろか)、冷却して発酵させる。もろみを単式蒸留機ポットスチル)で2回蒸留し、再留時にはアルコール分65%程度の中留区分のみをとり、樫樽(かしたる)(シェリーの古樽を用いることもある)に貯蔵する。モルトウイスキーは強い性格だけに蒸留所の個性がはっきり出る。スコットランドでは、数多くの蒸留所が自己のモルトウイスキーを他所のウイスキーとブレンドせず、シングルモルトウイスキー、またはピュアモルトウイスキーの名で市場に出しており、それぞれの蒸留所の個性が楽しめるが、数量的にはスコッチウイスキー全体の1%程度である。

[鴨川晴比古]


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飲み物がわかる辞典 「モルトウイスキー」の解説

モルトウイスキー【malt whisky】


大麦麦芽以外の穀物を用いず、麦芽だけを発酵させ、その発酵液を単式蒸留機で2~3回蒸留して製するウイスキー。原料や発酵・蒸留工程が香味に強く影響して特徴が強く出る。◇「モルト」と略す。「モルト」は「麦芽」の意。⇒グレーンウイスキー

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とっさの日本語便利帳 「モルトウイスキー」の解説

モルトウイスキー

麦芽(モルト)を発酵させ、ポットスチル(単式蒸留器)で二回蒸留、オーク樽で熟成。原料は大麦麦芽のみ。これだけを瓶詰めしたものがピュアモルトウイスキー。麦芽、トウモロコシライ麦などの穀類を原料にパテントスチル(連続式蒸留器)で造ったものがグレンウイスキー。この二つをブレンドしたブレンデッドウイスキー世界主流

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モルトウイスキー」の意味・わかりやすい解説

モルトウイスキー
malt whisky

大麦の麦芽だけを原料にしたウイスキー。麦芽を乾燥させるためピート (泥炭) を焼き,その独自の香りをつけ,原始的なポットスチルと呼ぶ単式蒸留機を使うことが特徴で,手間ひまはかかるが,能率的なグレインウイスキーに比べ,はるかに風味の点でまさる。

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世界大百科事典(旧版)内のモルトウイスキーの言及

【ウィスキー】より

…日本は現在,世界でも有数のウィスキー生産ならびに消費国となったが,本格的製造が始まったのは1920年代である。ウィスキーは原料によって,モルトウィスキーとグレーンウィスキーにわけられる。またスコッチ,アイリッシュ,アメリカン,カナディアンの4タイプに大別され,それぞれ原料や製造法によって独特の品質をもっている。…

【蒸留酒】より

…穀類や果実などを原料とし,これらを発酵,蒸留してつくった酒。ビールや白ブドウ酒の発酵液(もろみ)を蒸留したものが,それぞれモルトウィスキーやブランデーであるように,伝統的醸造酒には対応する蒸留酒がある。 形状からみて,蒸留に使われたと思われる土器は,紀元前3000年ころのメソポタミア文明の遺跡から出土しているが,ブドウ酒の蒸留を記録したのはアリストテレス(前384‐前322)がはじめである。…

※「モルトウイスキー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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