日本大百科全書(ニッポニカ) 「モルレー」の意味・わかりやすい解説
モルレー
もるれー
David Murray
(1830―1905)
アメリカ人、教育家、お雇い外国人顧問。マレーともよばれた。ラトガース大学教授としてアメリカ駐在代理公使森有礼(もりありのり)の質問に答えて日本教育に関する意見を寄せた。彼の意見は岩倉遣外使節一行の注目するところとなり、1873年(明治6)文部省顧問として来日した。初め督学官(のち学監)として当時文部行政の中心的地位にあった田中不二麻呂(たなかふじまろ)を助け、理想に走りすぎた「学制」の漸進的改革に務めた。その改革意見は『学監考案日本教育法』に示されている。また、欧米型ユニバーシティーの最初である東京大学の創立、東京女子師範学校(お茶の水女子大学の前身)および同付属幼稚園の開設に貢献したほか、東京学士院などの学術機関の整備にも尽くした。1879年1月帰国し、ニューヨーク州教育局理事などを歴任した。
[梅溪 昇 2018年8月21日]