マルカイガラムシ(その他表記)scale insect

翻訳|scale insect

改訂新版 世界大百科事典 「マルカイガラムシ」の意味・わかりやすい解説

マルカイガラムシ
scale insect

半翅目マルカイガラムシ科Diaspididaeの昆虫総称。大きなグループで,カイガラムシ類の大半を占め,日本から200種以上が知られている。微小な種が多く,一般に体長1~2mmくらい。キチン化した脱皮殻と虫体からの分泌物で鱗片状の虫体被覆物,いわゆる介殻(かいがら)を形成し,植物に固着して寄生生活を営む。円形の介殻を形成する種を代表して名づけられたが,介殻の形状は細長いもの,カキ殻状のものなどさまざまである。幼虫孵化(ふか)後比較的活発に歩行して移動,分散し,短時間のうちに場所を定めて定着する。2齢以降は無脚となり,雌は無翅の成虫となる。各種果樹類,植木,観葉植物の害虫となっているものが多く,かんきつ類に寄生するヤノネカイガラムシツバキツツジなどの枝,幹につくチャノマルカイガラムシ,温室内の観葉植物につくアカホシマルカイガラムシアオキシロカイガラムシなどがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルカイガラムシ」の意味・わかりやすい解説

マルカイガラムシ
まるかいがらむし / 丸貝虫

昆虫綱半翅(はんし)目同翅亜目マルカイガラムシ科Diaspididaeの昆虫の総称。普通、非常に小さく、体長は4ミリ以下。殻は円形か長形で、表面はわずかに膨らみ、硬いものと軟らかいものがある。殻の表面には、白色、灰色褐色、暗赤色、黒色などいろいろな色彩がある。雄の殻は雌の殻よりかなり小さく、長形のことが多い。雌成虫は有翅で、雄成虫は雌より小さく、無翅または有翅。複眼は3個の個眼からなり、触角はとくに発達する。幼虫は、一齢期には6節からなる触角と、脚(あし)や長い尾毛をもっているが、寄主植物に固着するとこれらは消失する。幼虫はろう質の物質を分泌して殻をつくる。重要害虫が多く、ミカン類や庭木に加害するトビイロマルカイガラムシ、ヤノネカイガラムシ、ツバキクロカイガラムシ、マツの葉に寄生するマツカキカイガラムシなどがある。

[林 正美]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルカイガラムシ」の意味・わかりやすい解説

マルカイガラムシ
Diaspididae

半翅目同翅亜目マルカイガラムシ科に属する昆虫の総称。カイガラムシのなかで最も進化している代表群。一般に体長 4mm以下と微小で,脱皮殻と分泌物とによって鱗片状の介殻を形成し,各種植物に寄生固着して生活する。介殻は円形または長形で,長形のものはカキ殻状,表面がわずかにふくれ上がる。幼虫は1齢時に6節からなる触角があるが,宿主に固着後消失する。雌は一度固着すると一生移動することなく,介殻下で植物から吸汁して生活する。2回脱皮して成虫となるが,肢はなく,触角は痕跡を認める程度である。雄の成虫は翅をもつ。果樹,また庭木の害虫となるものが多く,ヤノネカイガラムシは柑橘類の大害虫である。 (→同翅類 , 半翅類 )

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世界大百科事典(旧版)内のマルカイガラムシの言及

【カイガラムシ(介殻虫)】より

…一般に,果樹,植木,観葉植物の害虫として知られる。ワタフキカイガラムシ科,コナカイガラムシ科,カタカイガラムシ科,マルカイガラムシ科など十数科からなり,系統発生上はアブラムシ(蚜虫)などに近い。世界から6000~7000種,日本からは約400種が知られる。…

※「マルカイガラムシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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