ヤノネグサ(読み)やのねぐさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤノネグサ」の意味・わかりやすい解説

ヤノネグサ
やのねぐさ / 矢根草
[学] Persicaria muricata (Meisn.) Nemoto
Polygonum nipponense (Nakai) Makino

タデ科(APG分類:タデ科)の一年草。茎は、下部は地に伏し、上部は斜上して高さ約50センチメートル、短い逆刺(さかとげ)がある。葉は互生し、長楕円(ちょうだえん)形で先端は急にとがり、基部は切形(せっけい)またはわずかに心臓形で無毛、縁(へり)はざらつき、裏面脈上に短い逆刺があり、薄い洋紙質。葉鞘(ようしょう)は膜質で褐色、長さ0.7~2センチメートル、縁は切形で有毛。9~10月、枝先に淡紅色花を頭状に集めて開く。花被片(かひへん)は5枚で先端は紅紫色花柄腺毛(せんもう)がある。痩果(そうか)は三稜(りょう)形で褐色、光沢がある。湿地に多く生え、日本全土、および朝鮮半島に分布する。名は、葉の形状が矢じりに似ることによる。

[小林純子 2020年12月11日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤノネグサ」の意味・わかりやすい解説

ヤノネグサ(矢の根草)
ヤノネグサ
Persicaria nipponensis(Polygonum nipponense)

タデ科の一年草。日本各地の湿地や水辺に普通にみられる小型の草で,茎の長さは 50cmぐらい,地表をはって先端だけが斜上する。茎には毛はないが,小さい逆向きのとげがある。葉は洋紙質で柄があり,長楕円形で先は鋭くとがる。基部は鏃 (やじり) 形または浅い心臓形をしていて和名もこの形からついた。秋,枝の先に淡紅色の小花を頭状につけるが,ときに白花のものもある。

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