デジタル大辞泉 「やらん」の意味・読み・例文・類語
やら‐ん
1 (文末用法)
㋐疑問の気持ちを込めた推量の意を表す。…であろうか。
「いかさまこれは祇といふ文字を名について、かくはめでたき―」〈平家・一〉
㋑遠回しにぼやかして言う意を表す。…とかいうことだ。…とか。
「
2 (文中用法)体言または格助詞「と」に付いて副助詞的に用いて、不確かなこと、不定の意を表す。
「主上すでに人も通はぬ隠岐国と―に流されさせ給ふ上は」〈太平記・四〉
3 (「…やらん…やらん」の形で)不確かなことを漠然と並列・列挙する。…やら…やら。
「かやうに浪の立つ―、風の吹く―も知らぬ体にて」〈平家・六〉
[補説]中世以降の語。のちに「やらう」と変化し、さらに室町期には「やら」ともなり、現代の副助詞「やら」につながる。