ヤンバルヒゴタイ(英語表記)Vernonia cinerea (L.) Less.

改訂新版 世界大百科事典 「ヤンバルヒゴタイ」の意味・わかりやすい解説

ヤンバルヒゴタイ
Vernonia cinerea (L.) Less.

熱帯アジア原産のキク科の多年草。日本では琉球や九州南部で見られる。しばしば耕地雑草となる。茎は直立し,40~150cm。葉形の変異性が高く,葉身は菱卵形から卵形または長楕円形などとなる。花期は10~11月ころ。茎上部が分枝し,多数の小さい頭花を散房状の円錐花序につける。頭花は長さ7~8cm,すべて両性の筒状花からなる。総苞は鐘形で,長さ4~5mm。1頭花あたりの小花は20個内外。花冠は紫紅色。長さ5~6mm。瘦果(そうか)は円柱形,長さ2mm,毛と腺点を有する。冠毛は白色,2列性で,内側のは長さ4~5mm,外側のは短く,1~2mm。全草に灰白色の毛があり,ムカシヨモギErigeron acerを思い出させるところから,花の色を加えたムラサキムカシヨモギ別名がある。

 この仲間ショウジョウハグマ属Vernoniaは熱帯に広く分布し,およそ1000種からなる大きな植物群である。一年草から,樹高が30mをこす高木まで含まれる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤンバルヒゴタイ」の意味・わかりやすい解説

ヤンバルヒゴタイ
やんばるひごたい
[学] Cyanthillium cinereum (L.) H.Rob.
Vernonia cinerea (L.) Less.

キク科(APG分類:キク科)の多年草。ムラサキムカシヨモギともいう。茎は直立し、高さ1メートルに達する。葉は柄があって互生し、菱(ひし)状卵形または卵形、ときに2、3対中裂する。9~12月、茎頂にやや散房状の花序をつくり、多数の頭花をつける。頭花は紅紫色の管状花からなる。冠毛は剛毛状で2列あり、外側の冠毛は短い。道端耕作地に生え、九州南部、沖縄、小笠原(おがさわら)、および熱帯アジアに広く分布する。

小山博滋 2022年5月20日]

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