ユンナン省(読み)ユンナン(英語表記)Yunnan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユンナン省」の意味・わかりやすい解説

ユンナン(雲南)〔省〕
ユンナン
Yunnan

略称はティエン (滇) またはユン (雲) 。中国,西南地方南部の1級行政区。2特別市,7地区,8自治州に分れ,9市,85県,29自治県から成る。行政中心地はクンミン (昆明) 特別市。略称は,漢代に東部を治めた 滇国による。唐代には南詔国,宋代には大理国が建ったが,元に服しユンリン (雲嶺) 山脈の南にあることから省名がとられた。中央から東部はユンクイ (雲貴) 高原の西部にあたり,標高は 2000m前後で,高原面が比較的よく残る。パーツー (霸子) と呼ばれる盆地が散在し,重要な農業地域をなす。カルスト地形が広く分布亜熱帯の高原上にあるために一般に平均気温は1月で8℃以上,7月で 16℃以上であり,クンミン市は「春城」と呼ばれる。年降水量は平均 500~600mmで5~10月に集中する。省の西部はホントワン (横断) 山脈で,北部の山峰は標高 3000mをこえる。チャン (長) 江の上流であるチンシャー (金沙) 江,メコン川の上流ランツァン (瀾滄) 江,タンルウィン川の上流ヌー (怒) 江などが深く下刻して流れる。気候の垂直変化が著しく,高山の山頂には万年雪がみられる一方,山腹はマツ類,チークなどの森林におおわれ,谷には亜熱帯の田園が広がる。主要な食糧作物は水稲トウモロコシで,ほかにコムギソバ,ジャガイモがある。工芸作物ではアブラナ作付けが最大であるが,特産品としてはプーアル (普 洱) 茶とマルバタバコのユンイエン (雲煙) が名高い。南西部ではコーヒー,ゴムなど熱帯作物も栽培される。地下資源は非鉄金属が特に豊富で,コーチウ (箇旧) 市の錫,トンチョワン (東川) 市の銅,ホイツォー (会沢) 県の鉛と亜鉛,チンニン (晋寧) 県のリンがあり,イーピンラン (一平浪) には炭鉱がある。クンミン市と主要鉱業地域には冶金,機械などの工業が興っている。チョンクン (成昆) 鉄道,クイクン (貴昆) 鉄道が乗入れており,ベトナム国境のホーコウ (河口) ヤオ (瑤) 族自治県にクンホー (昆河) 鉄道が延びる。住民は約 70%を占める漢族のほか,イ族,パイ族,ハニ族,チワン族,タイ族,ミヤオ族,リス族など。面積 39万 km2余。人口 3697万 2610 (1990) 。

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