ライヒシュタイン(読み)らいひしゅたいん(その他表記)Tadeus Reichstein

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ライヒシュタイン」の意味・わかりやすい解説

ライヒシュタイン
らいひしゅたいん
Tadeus Reichstein
(1897―1996)

スイスの有機化学者。7月20日ポーランドのブウォツクベクに生まれる。家族とともにベルリン移住(1905)、チューリヒでスイス市民権を得、スイス連邦工科大学を卒業(1920)。H・シュタウディンガーのもとで博士号取得(1922)、バーゼル大学薬理学教授(1938)、有機化学教授も引き継ぎ(1946)、有機化学研究所長引退(1960)後も研究グループを指揮した。アスコルビン酸合成成功(1933)し、副腎(ふくじん)より多くの結晶ステロイドを単離しそれらの性質と構造の解明リウマチの薬「コルチゾン」を発見した。1950年E・C・ケンドルヘンチとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。

[岩田敦子]

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化学辞典 第2版 「ライヒシュタイン」の解説

ライヒシュタイン
ライヒシュタイン
Reichstein, Tadeus

ポーランド生まれのスイスの化学者.チューリヒ工科大学のH. Staudinger(シュタウディンガー)のもとで化学を学び,1922年学位を取得.しばらく産業界からの援助のもとで香料研究に従事し,1929年同大学講師に就任してL. Ruzicka(ルジチカ)の助手となった.1938年バーゼル大学薬学研究所所長に就任し,薬化学教授(1938~1950年),有機化学教授(1950~1960年)も務めた.1930年代から製薬企業オルガノン社の支援を得て,副じん皮質ホルモンの研究に着手し,20種類以上のホルモンを単離し,構造を決定した.そのうち,アジソン病治療に有効なデオキシコルチコステロンについては合成にも成功した.この業績で,1950年E.C. Kendall(ケンダル),P.S. Hench(ヘンチ)とともにノーベル生理学・医学賞を受賞.また,1933年にはビタミンCの合成に,S.W.N. Haworth(ハース)とは独立に成功している.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ライヒシュタイン」の意味・わかりやすい解説

ライヒシュタイン
Reichstein, Tadeus

[生]1897.7.20. ポーランド,ウウォツワウェク
[没]1996.8.1. スイス,バーゼル
スイスの化学者。チューリヒ大学に学び,チューリヒのスイス連邦工科大学有機化学部教授 (1930) ,バーゼル大学薬理学部部長 (38) ,同大学有機化学部部長 (46) 。ステロイド類,特に副賢皮質ホルモンを研究し,26種類のそれを分離した。これらのホルモンのうち,1936年に分離,発表した「Fa物質」は,アメリカの E.C.ケンドルが分離することに成功した「E化合物」と同じものであることがわかり,のちにコーチゾンと名づけられた。諸種の副腎皮質ホルモンおよびその構造と生物学的作用の発見で,ケンドル,P.S.ヘンチとともに,50年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。

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百科事典マイペディア 「ライヒシュタイン」の意味・わかりやすい解説

ライヒシュタイン

ポーランド生れのスイスの有機化学者。バーゼル大学教授。1933年ビタミンCの合成に成功。コーチゾンなど副腎皮質ホルモンの研究によって1950年ノーベル生理医学賞。

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