スイスの有機化学者。ユーゴスラビア生れ。カールスルーエ工科大学を卒業後,H.シュタウディンガーの助手となり,1917年ともにスイスに行き市民権を得た。ユトレヒト大学,チューリヒ工科大学の教授を歴任。テルペン類,サポニン類,ステリン類に関して数多くの業績を残した。例えば,麝香(じやこう)の香気成分シベトンやムスコンの構造決定を行い,その合成研究の間に炭素の多い環状ケトンを合成する方法を開発し,コレステリンから男性ホルモン〈アンドロステロン〉や,〈テストステロン〉を合成して構造を確定したことなどがある。性ホルモンに関する研究によりブテナントA.F.J.Butenandt(1903-95)とともに39年ノーベル化学賞を受賞。なおこのとき,ブテナントはナチの圧迫によって受賞を辞退した。
執筆者:岩田 敦子
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スラブ系でクロアチア生まれのスイスの有機化学者.カールスルーエ工科大学,バーゼル大学で化学を学んだ.1926年ユトレヒト大学教授,1929年チューリヒ工科大学教授となった.精油の研究から高級テルペンの存在を確認,高級テルペンの炭素骨格はいくつかのイソプレンの炭素骨格からできていること(イソプレン則)を提唱し,それらの構造決定に大きく貢献した.芳香成分の十七員環化合物シベトンを発見して構造を決定,また環状ケトンの構造と芳香の性質との関係を示した.男性ホルモンのアンドロステロン(1934年)とテストステロン(1935年)をコレステロールより合成し構造を決定した.ポリ(メチレン)と高級テルペンの研究で,1939年ノーベル化学賞を受賞した.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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