ライプツィヒ討論(読み)らいぷつぃひとうろん(その他表記)Leipziger Disputation ドイツ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ライプツィヒ討論」の意味・わかりやすい解説

ライプツィヒ討論
らいぷつぃひとうろん
Leipziger Disputation ドイツ語

1519年6月末から7月なかばにかけて、ライプツィヒにおいて、ザクセン公ゲオルクの計らいにより、宗教改革ルターとその論敵で神学者エックとの間で行われた公開討論。もともとは『九十五か条の論題』をめぐり、有力な教皇主義者のエックと、ウィッテンベルク大学でのルターの同僚カールシュタットとの間で交わされる教義論争のはずであったが、討論の後半は、もっぱら教皇の首位権という根本問題に関する、ルターとエックとの応酬となった。その際、エックの誘導により、ルターが、1世紀前のコンスタンツ公会議焚刑(ふんけい)に処せられたフスの教えのなかに正しい福音(ふくいん)的なものが含まれていること、教皇も公会議も過ちを犯しうることを明言したため、ルターの「異端的」立場は公然たるものとなった。

[成瀬 治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 世界史小辞典 改訂新版 「ライプツィヒ討論」の解説

ライプツィヒ討論(ライプツィヒとうろん)
Leipziger Disputation

1519年6月末から7月半ばにかけて,ヨハン・エックカールシュタットおよびルターとの間にライプツィヒで行った神学上の公開討論。エックの誘導によってルターはローマ教皇の首位権や教会会議の不可謬(ふかびゅう)性を否定し,異端的な立場を明らかにした。宗教改革がルター個人の信仰の問題から教会政治的な次元へと客観化される画期として重要。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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