日本大百科全書(ニッポニカ) 「エック」の意味・わかりやすい解説
エック
えっく
Johann Eck
(1486―1543)
ドイツのカトリック神学者。シュワーベン地方のギュンツにあるエック出身のゆえにエックとよばれた。インゴルシュタット大学の教授であり、抜群の記憶力と雄弁および鋭い眼識による論争家で、神学問題のみならず、高利貸の契約をも扱った。免罪証書の論争がおこる前はルターと親しかったが、「九十五か条の論題」が現れてから対立し、1519年、教皇の首長権と優位、自由意志と恩恵についてライプツィヒ論争を開いて、ルターをフスと同罪に断定し、異端者の立場に追い込み、翌1520年教皇に迫ってルター破門の宣言を出させることに成功した。そしてプロテスタントに対するカトリックの対抗勢力を組織した。
[金子晴勇 2017年11月17日]