エック(読み)えっく(英語表記)Johann Eck

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エック」の意味・わかりやすい解説

エック
えっく
Johann Eck
(1486―1543)

ドイツカトリック神学者。シュワーベン地方のギュンツにあるエック出身のゆえにエックとよばれた。インゴルシュタット大学の教授であり、抜群の記憶力と雄弁および鋭い眼識による論争家で、神学問題のみならず、高利貸の契約をも扱った。免罪証書の論争がおこる前はルターと親しかったが、「九十五か条の論題」が現れてから対立し、1519年、教皇の首長権と優位、自由意志と恩恵についてライプツィヒ論争を開いて、ルターをフスと同罪に断定し、異端者の立場に追い込み、翌1520年教皇に迫ってルター破門の宣言を出させることに成功した。そしてプロテスタントに対するカトリックの対抗勢力を組織した。

金子晴勇 2017年11月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エック」の意味・わかりやすい解説

エック
Ek, Mats

[生]1945.4.18. マルモ
スウェーデンの舞踊家,振付家。舞踊家,振付家の B.クルベルグと俳優アンデルス・エックの子。初め俳優を志したが,ストックホルム舞踊学校を経て 1973年,母の主宰するクルベルグ舞踊団に入団以後ダンサー,振付師として活躍し,喜劇と悲劇の鮮かなコントラスト,大胆で機知に富んだ振付で注目を集めた。特に 82年パリで初演した『ジゼル』では,精神病院を舞台に,エロティシズムとユーモアあふれる新解釈を示し,世界的な話題となった。 88年クルベルグ舞踊団の芸術監督に就任。そのほか代表作に,南アフリカアパルトヘイトを告発した『ソウェト』 (1977) ,『ベルナルダ・アルバの家』 (78) ,ジークフリードとハムレットを重ね合せて解釈した『白鳥の湖』 (87) などがある。

エック
Eck, Johannes Meier von

[生]1486.11.13. エック
[没]1543.2.10. インゴルシュタット
博識をもって鳴るドイツのカトリック論争家,説教家,神学者。ルターとのライプチヒ論争 (1519) で有名で,ルターの破門に成功し,ルターの宗教改革の有力な反対者であったが,彼自身カトリック教会の弊害にはきびしい批判を行なっている。

エック
Heck, Emile

[生]1868.2.16. ダンジュタン
[没]1943.6.23. 東京
フランス出身のマリア会司祭として来日。東京大学仏文科創設。暁星中学校校長。門下に岩下壮一,戸塚文卿。 R.ケーベルは友人。

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