ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラベロマナナ」の意味・わかりやすい解説
ラベロマナナ
Ravalomanana, Marc
マダガスカルの起業家,政治家。大統領(在任 2002~09)。故郷の村とスウェーデンのプロテスタント系学校で教育を受けた。帰国後,首都アンタナナリボで同族企業ティコを設立。プロテスタント教会の協力を得て,世界銀行の融資を獲得した。ティコはのちにマダガスカル最大の国内企業となった。1999年アンタナナリボ市長に選出。2001年の大統領選挙に立候補し,現職のディディエ・ラチラカに挑んだ。選挙後,ラベロマナナは票の不正操作があったと主張,多数の支持を背景に一方的に勝利を宣言し,就任式を行なって組閣を開始した。国際社会はこれを承認せず,国内ではラチラカ支持者とラベロマナナ支持者が衝突した。2002年夏にはラベロマナナ派がそれまでラチラカ派の牙城だった地域を制圧し,国際社会もラベロマナナ政権を承認した。ラベロマナナはただちに経済改革を実行し,分裂した国民感情を和解に導くために尽力した。2006年再選。2008年末,アンタナナリボ市長で人気のある野党党首のアンドリー・ラジョリナから,公金の横領と,独裁者のような強権的な手法を非難され,退陣を求められた。国際社会の支持は得ていたものの,国内では軍の支持を失い,世情不安も続いた。2009年3月辞任,軍に権力を譲った。軍の指導者は,すでに大統領宣言を行なっていたラジョリナに権力をゆだねた。ラベロマナナはアフリカ本土に亡命した。
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