ラリー(読み)らりー(英語表記)rally

翻訳|rally

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラリー」の意味・わかりやすい解説

ラリー
らりー
rally
rallye

モータースポーツ(自動車を用いたさまざまな競技)の一種語源のフランス語のラリエrallierは本来集合させるという意味で、ラリーはもともと、ゴールからほぼ等距離のヨーロッパの複数の主要都市を、指定された時間に出発、ゴールの都市に到達するまでの走行の正確さを競うものであった。その間をいくつかの区間に分け、それぞれ指定されたタイムより、遅くても速くても1分何点というぐあいに減点し、最終的に合計して結果を出した。とはいえ、指定速度はかなり速いから、車にはスピードが、ドライバーには高速での操縦技術が要求されるが、同時に両者に絶対的なスタミナが不可欠である。

 しかし交通の過密化から、公道上での競技は不可能になった結果、いくつもの閉鎖したスペシャルステージでの競技で得点を争わせ、その間を公道で結ぶという形式に変わっている。スペシャルステージにはタルマック(アスファルトの簡易舗装コース)とダート(舗装されていないコース)とがあるが、いずれも速度はきわめて高く、レースとよんでもよいほどである。

 ラリーの頂点にたつのは、世界ラリー選手権(World Rallye Championship略してWRC)である。毎年世界中で14戦ほどを行い、ドライバーとマニュファクチャラー(車の製作会社)のワールド・チャンピオンをそれぞれ選ぶ。WRCのなかには、厳冬のラリー・オートモービル・モンテ・カルロ、コルシカ島を1周するダートのツール・ド・コルス、晴れれば埃(ほこり)、降雨なら泥濘(でいねい)が敵となるケニアサファリ・ラリー、南半球のラリー・アルゼンチンなどが含まれる。車はドイツのフォード(チームはヨーロッパ・フォード、自動車はドイツ・フォード製)、フランスのプジョー、日本のスバルと三菱(みつびし)が激しく覇(は)を競っており、これらをチェコのシュコダ、韓国のヒュンダイ(現代)が追っている。参加車は、基本的には実用的なセダンを許された範囲内で高度にチューンアップしたいわゆるWRCカーである。WRCのラリーで優勝することの宣伝的価値は非常に大きい。

 毎年新年に行われるパリ―ダカール・ラリーは、一応ラリーの形式は採っているが、砂漠での走行区間が長いなど冒険的な要素が強い。参加車のレギュレーションはWRCとはまったく異なり、ジープ型四輪駆動車やSUVの改造車が主力を占め、大型トラックや二輪車のクラスもある。

[高島鎮雄]

その後の動き

WRCは2004年から年間16戦となり、北海道、十勝地方で開催されるラリー・ジャパンが加わっている。

[編集部]

ルール変更

2009年からは年間12戦の開催となり、2年間24戦を行うこととなった。WRC第14戦ラリー・ジャパンは2008年初冬に北海道、道央圏8市で開催される運びとなった。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラリー」の意味・わかりやすい解説

ラリー
rally

一般公道で実施され,舗装,砂利,岩,雪道,氷面などさまざまな路面で行なわれる自動車レース。国際自動車連盟 FIAが世界選手権タイトルをかけている世界ラリー選手権 WRCと日本国内のラリー競技では競技内容がやや異なる。ヨーロッパや南アメリカ,オーストラリアなどを転戦する WRCでは,一定の区間の公道を閉鎖し,その最短走行時間を争うスペシャルステージ SSの合計時間が最も少ないドライバーが勝者となる。モンテカルロラリー,フィンランドラリーなどが有名で,2004年には北海道で日本初の WRCが開催された。これに対し,国内競技では SSだけではなく,ロードセクションと呼ばれる SS間の移動区間で,指示された平均速度をいかに正確に走れるかにも比重をおいている。一般的にはロードセクションと SSの減点の合計で順位が決まる。このほか,2週間で走行距離約1万 kmを走破する,最も過酷な自動車ラリーといわれるパリ-ダカールラリーがある。

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