日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランクロ」の意味・わかりやすい解説
ランクロ
らんくろ
Anne Lenclos
Ninon de Lenclos
(1616―1706)
フランスの貴婦人。パリ生まれ。15歳で孤児となり、自分の自由意思で身を処することとなった。恋多き女性で、恋人としてラ・ロシュフコー公爵、ランブイエ侯爵はじめ多数の当代名士が名を連ねたが、彼女はなによりも自分の自由な生活を重んじ、男性に縛られない生活を貫き、社交界に大きな影響を与えた。彼女の残した『書簡集』Lettres(1886)には、「わたしはあなたを3か月は愛することができると思います。でも、これはわたしにとって無限ともいうべき時間ですわ」「今、わたしは20ぺん目の気まぐれをやっているところです」など、自由な女性の面目が生き生きとうかがえる。
[榊原晃三]