改訂新版 世界大百科事典 「ラージャシェーカラ」の意味・わかりやすい解説
ラージャシェーカラ
Rājaśekhara
9~10世紀のインドの詩人。生没年不詳。マハーラーシュトラに生まれ,北インドのプラティーハーラ朝のマヘーンドラ・パーラ王(9~10世紀),マヒー・パーラ王(10世紀前半)などに仕え,宮廷詩人として令名を馳せた。その作品としては,詩論《カービヤ・ミーマーンサー》のほか,4編の戯曲がある。すなわち,叙事詩《ラーマーヤナ》と《マハーバーラタ》を題材とした《バーラ・ラーマーヤナ》と《バーラ・バーラタ》,王宮を舞台とする恋愛劇《ビッダ・シャーラバンジカー》と《カルプーラ・マンジャリー》が知られている。とくに最後のものは,全編プラークリット語(俗語)で書かれた異色の戯曲で,作詩法に熟達した作者が表現技法を凝らし,多種の韻律を使い分けて,その詩人としての才能をいかんなく発揮した興味深い作品である。
執筆者:矢島 道彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報