リウマチ性心炎(読み)リウマチせいしんえん(その他表記)rheumatic pancarditis

改訂新版 世界大百科事典 「リウマチ性心炎」の意味・わかりやすい解説

リウマチ性心炎 (リウマチせいしんえん)
rheumatic pancarditis

リウマチ熱に関連した心臓病気はリウマチ性心疾患rheumatic carditisと総称されるが,これにはリウマチ性心炎とその後遺症であるリウマチ性弁膜症がある。リウマチ性心炎はリウマチ熱の50~60%に出現し,リウマチ熱診断のための改訂ジョーンズ基準における主症状5項目(心炎,多発関節炎,小舞踏病など)の第一に挙げられている。心炎は心内膜炎弁膜炎)が主体であるが,心筋炎心囊炎も伴っている。弁膜の炎症僧帽弁に最も起こりやすく,ついで大動脈弁に多い。それにより弁の閉鎖不全を起こし,血液逆流を生ずる。そのための特有の心雑音があり,心炎の診断は心雑音の存在によってつけられることが多い。リウマチ性心炎と診断された場合,治療には副腎皮質ホルモン剤が必要である。副腎皮質ホルモン剤のない時代には,心炎による心不全で死亡することもあり,リウマチ熱の治癒後も心臓弁膜症を残すことが多かったが,早期に副腎皮質ホルモン療法を開始すれば弁膜症への移行を防ぐこともできる。リウマチ熱は再発しやすい病気で,再発をくり返すごとに弁膜症になるものが増え,また重症化するので,ペニシリンを長期間服用することによって,再発を予防することが重要である。
心臓弁膜症
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