改訂新版 世界大百科事典 「リグリア人」の意味・わかりやすい解説
リグリア人 (リグリアじん)
Ligures
ケルト化する以前のガリアの先住民族。ローヌ川からアルノ川までの地中海沿岸と,ポー川南方の内陸山岳地帯にかけて居住していたが,まずケルト人到来により,前3世紀以降はローマの征服により,その居住域は縮小した。西方リグリア人はしだいにケルト化され,マッシリア(現,マルセイユ)は隣接する〈ケルト・リグリア人〉に脅やかされて前154年と前125年にローマに援助を要請。前125年の援助要請はローマの属州設置という結果を招いた。史料には短軀で強健・勇猛な民,傭兵,また山賊として現れている。ある種の接尾辞に終わる単語や地名にリグリア語が残っているといわれるが詳細は不明で,民族系統についても確言できない。リグリアの名は現イタリアの州名として残っている。
執筆者:後藤 篤子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報