ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リトル・リチャード」の意味・わかりやすい解説
リトル・リチャード
Little Richard
[没]2020.5.9. テネシー.タラホーマ
アメリカ合衆国の歌手,ピアニスト。本名 Richard Wayne Penniman。1950年代に隆盛をきわめたロックンロール(→ロック音楽)の先駆者の一人で,愉快で性的なニュアンスをもつ歌詞に乗りのよい音楽,驚異的かつ高揚感あふれる歌唱法で,エルビス・プレスリーとともに草創期のロックにゆるぎない影響を与えた。12人きょうだいの家庭に生まれ,ペンテコステ派の教会でゴスペル音楽(→ゴスペル・ソング)を学ぶ。10代の頃に家を出て,ナイトクラブなどで「リトル・リチャード」を名のり,リズム・アンド・ブルース R&Bのエネルギッシュかつ派手な演奏で有名になる。1955年9月,ニューオーリンズの J&Mスタジオで,"A wop bop a loo bop, a lop bam boom!"のフレーズが印象的な『トゥッティ・フルッティ』Tutti Fruttiの名演がレコーディングされ,その後 1年半にわたってスペシャルティ・レコードから,『リップ・イット・アップ』Rip It Up,『のっぽのサリー』Long Tall Sally,『グッド・ゴーリー・ミス・モーリー』Good Golly, Miss Molly,『愛しておくれ』Send Me Some Lovin'などのヒット曲を世に送った。また『女はそれを我慢できない』The Girl Can't Help It(1956)などの初期のロック映画にも出演した。人気絶頂期の 1957年に引退を発表し,大学で神学を修めて福音主義の巡回牧師となったが,1962年に復帰,1964年に『バマ・ラマ・バマ・ルー』Bama Lama Bama Looの新曲を発表し,1970年代初めにはメジャーレーベルからアルバム 3枚をリリースした。1964年にアメリカの音楽界を席捲したビートルズはリトル・リチャードの名曲をカバーし,偉大な先達への感謝を公言した。1986年ロックの殿堂入り。2013年引退。
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