翻訳|Tennessee
アメリカ合衆国南部の州。略称Tenn.。連邦加入1796年,16番目。面積10万6752km2,人口634万6105(2010)。州都ナッシュビル,最大都市メンフィス。東西700kmにおよぶ細長い州で,東部はアパラチア山脈,中央部はテネシー川やカンバーランド川などにきざまれた丘陵,盆地からなり,西端部にはミシシッピ川のつくる沖積平野が広がる。これら3地域は,経済的・文化的にも独特の地域性をもっている。内陸性の湿潤温暖気候で,夏は蒸し暑く冬は寒く雪も降り,年降水量は1100~1500mm程度。農業適地には恵まれず,おくれた農業州として知られ,南部なまりと密造酒に代表されるヒルビリー(辺境)地域という強いイメージがあった。しかし,ニューディール期のTVA(1933)設立以降,農業の近代化や工業化が進められてきた。多数の巨大な多目的ダムが集中する東半分には,ノックスビル,チャタヌーガ,オーク・リッジなどの工業都市が発達している。一方,州中央部のナッシュビルは,カントリー・アンド・ウェスタン(カントリー・ミュージック)の中心地として知られる。多数の湖や緑におおわれた山地・丘陵の存在により,大レクリエーション地帯が形成されている。南部諸州の中では黒人人口比率は低く,1860年には26%,1980年には16%であった。西部の英雄D.クロケットや,第7代大統領A.ジャクソンの出身地としても知られ,《テネシー・ワルツ》は州歌に指定されている。1540年に,白人として初めてスペイン人がテネシー川沿いのインディアン集落を攻撃しながら探検した当時は,チェロキーやチカリー族のインディアンがこの地域で生活していた。州名はチェロキー・インディアンの集落名に由来するといわれる。
執筆者:正井 泰夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
アメリカ合衆国中央南部の州。人口568万9283(2000国勢調査速報値)。面積10万9412平方キロメートル。北はバージニア州とケンタッキー州、西はミシシッピ川を境にしてミズーリ州とアーカンソー州、南はミシシッピ州、アラバマ州およびジョージア州、東はノース・カロライナ州とそれぞれ接する。州都ナッシュビル、最大都市メンフィス。州は地形的に三つの地区に分かれる。東側はグレート・スモーキー山脈とカンバーランド台地、および小さな山地と谷からなる地域。テネシー川が東西の境界となっている中央部は緩やかな起伏の内陸低台地。テネシー川とミシシッピ川に挟まれた西部はミシシッピ川の沖積平野。気候は湿潤温暖で、州都ナッシュビルの年降水量は1233ミリメートル、平均気温は1月が4.4℃、7月が26.3℃である。中央部と西部の肥沃(ひよく)な土地を利用した農業州であったが、1930年代のTVA計画によって急速に工業化が進んだ。工業は化学製品、食品加工、繊維・織物・衣服、電気機械、金属加工などが東部の都市を中心に発達している。東部はTVAの管理するダムや発電所のほかに、亜鉛、瀝青炭(れきせいたん)、粘土にも恵まれている。かつて重要な作物であった綿花はその地位を低下させ、現在では農業販売額の第1位はミシシッピ川流域で栽培される大豆である。タバコは東部における主要な作物である。中部で飼育される肉牛と牛乳の販売額は、大豆に次いで重要である。TVAの建設した多くの人造湖はレクリエーション地域となり、多くの人々が訪れる。テネシーはまたカントリー・ミュージックの中心として有名である。ノース・カロライナ州との境にグレート・スモーキー山岳国立公園がある。
1769年、バージニアからやってきた人々によって最初の定住集落がテネシー川上流に建設され、その後ノース・カロライナから入植者が続き、ノース・カロライナの一部となったのち、1796年合衆国16番目の州となった。南北戦争では州の東部が北軍側、他は南軍側で戦い、テネシーは最大の激戦地の一つであった。
[菅野峰明]
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