福音主義(読み)ふくいんしゅぎ(英語表記)evangelicalism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「福音主義」の解説

福音主義
ふくいんしゅぎ
evangelicalism

聖書に証 (あかし) されている救い主イエス・キリストの喜ばしい訪れ (福音) を重んじる立場。 (1) 伝統秘跡などを重視するローマ・カトリックに対して,「信仰のみ」「聖書のみ」を主張するプロテスタント,(2) 再洗礼派カルバン派などに対して,特にドイツルター派,(3) 聖書解釈において逐語的に受入れる根本主義,(4) イギリス国教会で,高教会に対する低教会,(5) 18世紀の福音・信仰覚醒運動の流れをひくメソジスト派がそれぞれ福音派もしくは福音主義に立つといわれている。

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旺文社世界史事典 三訂版「福音主義」の解説

福音主義
ふくいんしゅぎ
evangelicalism

新約聖書』中の「4福音書」の教義精神に信仰の基礎を求めること
救済は神の恵みへの信仰によるとする信仰義認,教会の教えでなく聖書の言葉に立ちもどる聖書主義,神と人との直接的関係を強調する万人祭司主義が特徴。ルター派・カルヴァン派・再洗礼派・メソジスト教会などはこの立場をとる。

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世界大百科事典 第2版「福音主義」の解説

ふくいんしゅぎ【福音主義 évangélisme[フランス]】

16世紀初頭の西ヨーロッパにおいて,宗教改革に先立ちカトリック教会の組織内でその浄化を図り信仰を刷新しようと試みた運動,またその根底にある考え方。すでに中世以来キリスト中心の生き生きとした内面的信仰を復活させようとする〈新しき信心Devotio moderna〉の運動がネーデルラントから北フランスにかけて広まったが,その影響下に育ち,人文主義的方法をも身につけたエラスムスルフェーブル・デタープルは,従来教会が顧みなかった聖書のヘブライ語・ギリシア語原典や古代教父文学の再検討を通じて,新しいキリスト信仰のあり方を求めようとした。

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世界大百科事典内の福音主義の言及

【宗教改革】より

…フランスのルフェーブル・デタープル,ネーデルラント出身のエラスムスらが掲げたこのキリスト教的ヒューマニズムの理念は,古典研究を通じての人間形成という立場から,やはり聖書を重んじ,キリスト信仰を原初の純粋な姿に立ち戻らせようとする志向において,宗教改革に大きな推進力を提供した。
[ルターの福音主義]
 ドイツ中東部の領邦,ザクセン選帝侯国の首都ウィッテンベルクで,アウグスティヌス会の修道士であり大学の神学教授であるマルティン・ルターが,1517年10月31日,贖宥の効力に関する〈九十五ヵ条提題〉を公にしたことが,宗教改革の口火となった。深い罪意識と鋭敏な良心から,律法の遵守や善き〈行い〉(功績)による救いの道を説くカトリシズムの教義に根本的な疑いをいだいた彼は,オッカム神学の研究や上司シュタウピッツを通じての神秘主義との接触,しかし何よりも〈神の言(ことば)〉としての聖書への沈潜の中で,救いの問題の新たな神学的理解へと到達した。…

※「福音主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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