リフシッツ(読み)りふしっつ(その他表記)Евгений Михайлович Лифшиц/Evgeniy Mihaylovich Lifshits

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リフシッツ」の意味・わかりやすい解説

リフシッツ
りふしっつ
Евгений Михайлович Лифшиц/Evgeniy Mihaylovich Lifshits
(1915―1985)

ソ連の物性理論物理学者。1930年代なかば、ヨーロッパから帰国したランダウがウクライナ物理工学研究所(現、ハルキウ物理工学研究所)の理論部門の長をしていたころの学生の一人で、その後、ピタエフスキーLev Petrovich Pitaevskii(1933―2022)、アブリコソフ、ゴリコフLev Petrovich Gor'kov(1929―2016)らとともに「ランダウ学派」の中心的役割を果たし、「強磁性体の磁区構造理論」(1935、1944)、「超流動体中の音波伝播(でんぱ)」(1944)、「ファン・デル・ワールス力の理論」(1954)など業績は多方面にわたっている。ランダウとの共著『理論物理学教程』(全10巻)は、1941年からランダウの死後も続けられ、約40年を費やして、1979年に完成された。ソビエト科学アカデミー(現、ロシア科学アカデミー)物理学研究所教授として旧ソ連の物性理論展開に貢献した。

荒川 泓]

『L・D・ランダウ、E・M・リフシッツ著、恒藤敏彦・広重徹訳『ランダウ=リフシッツ理論物理学教程 場の古典論 電気力学、特殊および一般相対性理論』(1978・東京図書)』『L・D・ランダウ、E・M・リフシッツ著、竹内均訳『ランダウ=リフシッツ理論物理学教程 流体力学1、2』(1979~1980・東京図書)』『V・B・ベレステツキー、E・M・リフシッツ他著、井上健男訳『ランダウ=リフシッツ理論物理学教程 相対論的量子力学1、2』(1980・東京図書)』『E・M・リフシッツ、L・P・ピタエフスキー、井上健男他訳『ランダウ=リフシッツ理論物理学教程 物理的運動学1、2』(1982・東京図書)』『E・M・リフシッツ、L・P・ピタエフスキー著、碓井恒丸訳『量子統計物理学』(1982・岩波書店)』『L・D・ランダウ、E・M・リフシッツ著、井上健男他訳『ランダウ=リフシッツ理論物理学教程 電磁気学 連続媒質の電気力学1、2』(1982~1983・東京図書)』『L・D・ランダウ、E・M・リフシッツ著、好村滋洋他訳『ランダウ=リフシッツ理論物理学教程 量子力学 非相対論的理論1、2』改訂新版(1984・東京図書)』『L・D・ランダウ、E・M・リフシッツ著、好村滋洋・井上健男訳『ランダウ=リフシッツ物理学小教程 量子力学』(1984・東京図書)』『L・D・ランダウ、E・M・リフシッツ著、水戸巌他訳『ランダウ=リフシッツ物理学小教程 力学・場の理論』(1984・東京図書)』『L・D・ランダウ、E・M・リフシッツ著、佐藤常三・石橋善弘訳『ランダウ=リフシッツ理論物理学教程 弾性理論』増補新版(1989・東京図書)』

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