翻訳|remix
録音された楽曲を素材としてさまざまな音響操作を加え、新たな音楽に再構成すること。一般にマルチトラック・テープ(複数の独立した録音トラックを持つテープ)に録音された各々のパートに対してミキシング処理(他のサウンドを混ぜること)、イコライジング(特定の周波数を強調または低減させること)、ミュート(特定のパートの音量を下げること)、エフェクト(サウンドの遅延や残響、歪みなどの特殊効果)を加え、あるいは新たな素材を加えたり減らしたりして、元の楽曲とは別のサウンドをもつ新たな楽曲を作成する作業を指す。
リミックスの起源はレコード・ビジネスのマーケティングに基づき、シングル/アルバムによって、あるいはリリースされる国や地域の微妙な嗜好の違いによって、ミックス・バランスを微妙に変えてレコードを発売していたことに発する。やがてディスコ文化の発達に伴い、ダンス・フロア向けにビートを強調し、楽曲の長さを延長してリミックスされたシングル(それまでの7インチのEPシングル盤に対し、LPレコードと同じ大きさの12インチ盤でリリースされた)が1970年代初頭に出現し、DJ向けのプロモーション用途を中心に広まり始める。80年代に入るとDJ自身がリミックスを行うことが普通になり、また既成のレコードを用いて新たな音楽を生み出すヒップ・ホップの方法論が広まったこともあって、リミックスという手法は一般化する。
その後リミックスは、ポップ・ミュージックにおける基本的な差異生産のメソッドとして用いられている。シングル盤には一つの楽曲の複数のリミックスが含まれていることは珍しくない。一つの楽曲に対して複数のリミックスが存在する状況は、これまで確固として保証されていた、音楽における「曲の同一性」と「作者性」の存立基盤を揺るがす一因ともなっている。
[増田 聡]
『椹木野衣著『増補版 シミュレーショニズム――ハウス・ミュージックと盗用芸術』(ちくま学芸文庫)』
出典 (株)ヤマハミュージックメディア音楽用語ダスについて 情報
個々の企業が新事業を始める場合に、なんらかの規制に該当するかどうかを事前に確認できる制度。2014年(平成26)施行の産業競争力強化法に基づき導入された。企業ごとに事業所管省庁へ申請し、関係省庁と調整...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新