LPレコード(読み)えるぴーれこーど

日本大百科全書(ニッポニカ) 「LPレコード」の意味・わかりやすい解説

LPレコード
えるぴーれこーど

long playing record略称。アメリカのコロムビア社が1948年に開発した長時間レコード。回転数は1分間33と3分の1回転で、曲率半径1ミル(25.4マイクロメートル)の再生針に対応する音溝(おとみぞ)をもつ。従来のSPレコードに比べて微細な音溝であるため、同様な音溝をもつシングルレコードやEPレコードとともにマイクログルーブレコードともよばれる。直径30センチメートルが標準で、この場合、演奏時間は片面20~30分である。直径25センチメートルのものもある。材料として、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体主体とする合成樹脂が使われる。取扱い、演奏時間、音質雑音などのすべての点でSPレコードに勝り、レコードの主流であった。

 1982年(昭和57)にCD(コンパクトディスク)が発売されると、使用上の簡便性と音質のよさが評価されるようになった。1986年にはLPレコードとCDの国内生産枚数は4500万枚ずつで、ほぼ同数であったが、以後LPレコードの生産枚数は急激に減少し、CDが音楽ソフトの主流となって現在に至っている。LPレコードの製造は2000年代に入って以降も続けられているが数量的には少なく、統計にあがるまでには至らない。需要もアナログ録音の音をとくに好む愛好家向けや、DJディスク・ジョッキー)がスクラッチとよばれる特殊な演奏効果(レコード盤摩擦によるノイズを用いた技法)を演出するためなどに限られている。音楽の記録媒体としての主流の座は降りたが、LPレコードが音楽文化に尽くした貢献は大きく、歴史に名をとどめるべきものである。

[吉川昭吉郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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