ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒップホップ」の意味・わかりやすい解説
ヒップホップ
hip-hop
DJ,ラップおよびダンスは結びついて今日まで発展をみている。DJの草分けはジャマイカ出身の移民であるクール・ハーク(本名クライブ・キャンベル)で,1973年当時 18歳だった彼はパーティ会場に大きな音響設備を持ち込み 2台のターンテーブルを用い,古いレコードの打楽器演奏部分とダンスソングを組み合わせて,盛り上がったままとぎれることのない音楽をつくりだした。初期の DJとしてはこのほか,アフリカ・バンバータ,「スクラッチ」と呼ばれる技術を開発・普及したといわれるグランド・ウィザード・セオドアとグランドマスター・フラッシュがいる。彼らの音楽に合わせて,ダンサーたちは重力に抗うようなヘッドスピンやバックスピンといったアクロバティックな技を駆使したブレイクダンスをつくり上げた。また,DJのかたわらで曲に合わせてリズミカルに語りかける MCの役割も生まれた。彼らが語る「ラップ」が世界的に知られるきっかけとなったのが,シュガーヒル・ギャングが 1979年に発表した楽曲『ラッパーズ・ディライト』Rapper's Delightである。この曲のヒットにより,ラップミュージックはポピュラー音楽の新たなジャンルにその名を刻むことになった。初期のラップミュージシャンにはグランドマスター・フラッシュ&ザ・フューリアス・ファイブ,カーティス・ブロウ,コールド・クラッシュ・ブラザーズがいる。1980年代半ば以降,「ニュースクール」と呼ばれる新たなヒップホップの担い手が台頭し,中流階級出身のアフリカ系三人組ラン-DMCや,LL・クール・J,白人三人組のビースティ・ボーイズ,そしてパブリック・エナミーがファン層を広げた。
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