日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンゴハダニ」の意味・わかりやすい解説
リンゴハダニ
りんごはだに / 林葉誄
fruit tree red spider mite
[学] Panonychus ulmi
節足動物門クモ形綱ダニ目ハダニ科に属する植物寄生性のダニ。ミカンハダニと近縁な種。雌は暗赤色を呈し、胴背毛とその起点のこぶおよび脚(あし)は白色。体長は雌0.4ミリメートル内外、雄0.3ミリメートル内外。卵は赤色。世界的にリンゴの害虫として重要視されてきたが、近年、リンゴ園でリンゴハダニがナミハダニに置き換わっている現象がみられる。おもにリンゴ、ナシ、モモ、オウトウなどバラ科に寄生する。年間世代数は北海道で5、6回、青森県で7、8回、休眠卵(冬卵)で越冬する。休眠卵は枝や幹などに産卵され、非休眠卵(夏卵)は葉(裏・表)に産卵される。葉面に散開して生息し、吐糸はするが網はつくらない。被害は葉全体に散在した白いスポットとして現れる。北緯37度以北のリンゴに寄生するが、以南でも寒冷地、たとえば中国地方の山地には分布する。
[森 樊須]