ルカシェービチ(読み)るかしぇーびち(その他表記)Jan Łukasiewicz

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルカシェービチ」の意味・わかりやすい解説

ルカシェービチ
るかしぇーびち
Jan Łukasiewicz
(1878―1956)

ポーランド論理学者、哲学者。「ウカシェビチ」の表記が本来発音に近い。命題論理学の創生期にあたり、その体系を整えるのに貢献した。また、三値論理学、多値論理学を研究した。1951年にはアリストテレスの論理学の体系を公理論的にまとめる研究を発表して注目された。この公理化自体は興味深いが、アリストテレスの論理学そのものには忠実ではないとする批判もある。また、論理記号一種である、いわゆるポーランド記号も彼によって始められたといわれている。門下タルスキーのような著名な論理学者がいることでも有名である。

[吉田夏彦 2015年11月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「ルカシェービチ」の意味・わかりやすい解説

ルカシエービチ
Jan Łukasiewicz
生没年:1878-1956

ポーランドの哲学者,論理学者。ポーランド語ではウカシェービチ。トバルドフスキKazimierz Twardowski(1866-1938)の下で学位を得た後,両大戦間はワルシャワ大学教授として,いわゆるポーランド学派の指導者であった。また,第1次大戦直後文部行政にも参画した。第2次大戦後はダブリンで研究。多値論理を含む命題論理三段論法の現代的定式化,さらにそれと密接に結びついている論理学史の分野で多くの先駆的業績を残した。主著に《数学的論理学要説》(1929),《現代形式論理学の観点より見たアリストテレスの三段論法》(1951)がある。
多値論理学
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のルカシェービチの言及

【多値論理学】より

…仮に決定論が認められないとすると,ある種の命題は真でも偽でもなく,不確定といった第3の真理値をとると考えられる。このような観点からポーランドの論理学者ルカシエービチは,第1次大戦の終りころ多値論理学の基本となる三値論理学を提唱した。もっとも,C.S.パースによる先駆的研究もあり,また古代中世においても多値論理学の萌芽があった。…

※「ルカシェービチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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