多値論理学(読み)たちろんりがく(英語表記)many-valued logic

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

多値論理学
たちろんりがく
many-valued logic

排中律を前提とする論理学命題は真か偽 (真=1か偽=0) の2値しかとりえない。すなわち矛盾する命題が同時に真となることはないと考えるのに対して,命題が3つ以上 (理論的には n個) の値をとれると考える論理学全体をさす。排中律の妥当性を疑う考え方は古くからあり (たとえばオッカム) ,それをアリストテレスの Peri hermēnesisにヒントを得て現代的な形で明示化したのが,J.ルカシェビッチŁukasiewiczである (『アリストテレスにおける矛盾律について』〈1910〉,『命題計算の多値的体系についての哲学的覚え書』〈20〉) 。なお多値論理学はその解釈の仕方で様相論理学および確率論理学と密接な関係をもち,高次の一般性をもち不変であると考えられていた論理学およびその法則が互換的であることを示した点にも哲学的意義がある。

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百科事典マイペディアの解説

多値論理学【たちろんりがく】

英語many-valued logicなどの訳。真理値として真と偽(集合でいえば全集合と空集合)のみを認める普通の論理学を一括して二値論理学というのに対し,二値以上の真理値をもつ論理学をいう。現実の思考は明らかに二値の論理体系で処理し得るわけではなく,たとえば真・偽のほかに真偽不定といった第三の領域を認める必要がある。この問題をはじめて取り扱ったのが様相論理学であるが,様相論理の研究において,特に様相概念を外延的に取り扱う試みとして生まれたのが多値論理学。その先駆者はC.S.パースルカシエービチ,E.L.ポストら。なお量子論や確率論を多値論理によって解釈する試みもある。→論理学

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世界大百科事典 第2版の解説

たちろんりがく【多値論理学 many‐valued logic】

現代論理学の一分野。通常いかなる命題(判断)も真か偽のいずれかであると考えられている。そして,真でもなければ偽でもない中間の真理値は存在しないというのが論理学の常識であろう。しかしながら,アリストテレスもすでに指摘しているように,まだ起きていない未来のことがらについては,この原理,つまり二値の原理は必ずしも成り立たないように思われる。実際,未来のことまでその真偽があらかじめ定まっているとするならば,いわゆる決定論(あるいは宿命論)を暗黙のうちに認めてしまうことになる。

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大辞林 第三版の解説

たちろんりがく【多値論理学】

真・偽の二値しかもたない標準的な記号論理学に対し、 n 個ないし無限に多くの値をとる命題を対象とする論理学。1920年代ルカーシェビチの三値論理学(真・真偽不定・偽)に始まり、様相論理学へと発展した。 → 様相論理学二値論理学

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精選版 日本国語大辞典の解説

たち‐ろんりがく【多値論理学】

〘名〙 現代論理学の一分野。命題が真・偽の二値しかもたないとする一般の形式論理学に対して、真・偽以外に第三の真理値を命題がもっていることを認める論理学。一九二〇年代初めポーランドのルカシエービチが提唱した三値論理学に始まり、様相論理学へと発展した。

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