翻訳|Polish
インド・ヨーロッパ語族スラブ語派の西のグループに属する言語。ポーランドに3500万の話し手がおり,国外(アメリカ,ロシアほか)に500万とも,750万から1000万ともいわれる言語人口がある。ポーランド語はスラブ語中で子音の頻度の高い言語として知られ,また数多くの子音を表すのに二つの文字を組み合わせて書くので,文字面ではいっそうその印象が強い。子音の数は36,母音は7で,そのうち二つは鼻母音である。アクセントは強弱アクセントで,ごく一部の例外を除いて常に語末から第2番目の音節にある。文字はラテン文字を用いる。ポーランド語は屈折的タイプが強い言語で,名詞には男・女・中の三つの性,単・複の2数,六つの格(それに呼格を示す形式)があり,活動体・不活動体の区別,さらに男性名詞活動体では人間形とそれ以外の区別がある。動詞には体(アスペクト),態,法,時制,人称,数のカテゴリーがあって豊富なパラダイムを作り,その際 -ł(エル)分詞により,性と人間形を区別する場合もある。統語論で特徴的なのは,被動形動詞(受身の分詞)を述語に用いる表現方法である(例,pisanow gazecie〈新聞に書かれている〉)。また語順では,長い間この国の文語であったラテン語の影響で形容詞は名詞の後に立つ(例,język polski〈ポーランド語〉)。
方言はマズジェニェmazurzenieと呼ばれる[š,ž,č,ǯ]を[s,z,c,ʒ]と発音する現象により二分され,この現象のある東の地域の方が広い。しかし文語はこの現象のない方言を基礎にしている。またポーランド北部のグダンスクの近くには,長い間別の言語と見なされてカシューブ語Kashubianといわれたカシューブ方言があり,ポーランド人でさえ理解困難なほど異なる。この方言は現在は消滅したポラブ語に近かったポモジェ方言の残ったものと考えられている。またカシューブ方言の北にスウォビン小方言があり,カシューブ方言に属するが,お互いにかなり異なっている。なおこの小方言は第2次大戦などにより現在消滅している。
執筆者:千野 栄一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
インド・ヨーロッパ語族のスラブ語派に属す一言語。スラブ語のなかではチェコ語、スロバキア語、ソルブ語とともに西スラブ語グループをつくっている。現在ポーランドの公用語。ほかにポーランドのチェシンと接するチェコのチェスキ・チェシーン、ポーランドと接するウクライナ、ベラルーシの一部、アメリカ合衆国などに多くの話し手をもつ。
ポーランド語は、8~9世紀に、オーデル川、ワルタ川、ビスワ川流域の諸部族の方言がもとになり発達し、10世紀末ポーランド国家が成立したのに伴い、独立した言語として成立した。12~15世紀にもっとも重要な書きことばの規範が発達、16世紀にはレイ、コハノフスキらのポーランド・ルネサンス文学の開花によって、文語の規範化、普及が進んだ。ポーランド語は、スラブ語のなかではロシア語に次ぐ有力な文語で、とりわけ西欧文化の伝統を継ぐ優れたロマン主義詩人、リアリズム作家らによって、きわめて完成度の高い豊かな言語となった。
ポーランド語はほかのスラブ語同様きわめて豊かな屈折をもつ。名詞型、代名詞=形容詞型、数詞型の曲用(屈折)をもち、格、数、性に従って語尾を変化させる。活用は、現在変化では人称と数、過去および合成未来変化では人称、数、性の範疇(はんちゅう)がかかわる。格は七つ、数は単・複、性は単数で男・女・中、複数で男性人間と女性事物に区別される。ほかのスラブ語が失った鼻母音の保存、アクセントの語末から二番目の音節への固定、母音の長短の差異の消滅、口蓋(こうがい)音t´、d´、r´の、c´、dz´、rzへの変化などがおもな特徴となっている。
[小原雅俊]
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