ポーランド語(読み)ぽーらんどご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポーランド語」の意味・わかりやすい解説

ポーランド語
ぽーらんどご

インド・ヨーロッパ語族のスラブ語派に属す一言語。スラブ語のなかではチェコ語スロバキア語ソルブ語とともに西スラブ語グループをつくっている。現在ポーランドの公用語。ほかにポーランドのチェシンと接するチェコのチェスキ・チェシーン、ポーランドと接するウクライナベラルーシの一部、アメリカ合衆国などに多くの話し手をもつ。

 ポーランド語は、8~9世紀に、オーデル川、ワルタ川、ビスワ川流域の諸部族の方言がもとになり発達し、10世紀末ポーランド国家が成立したのに伴い、独立した言語として成立した。12~15世紀にもっとも重要な書きことばの規範が発達、16世紀にはレイ、コハノフスキらのポーランド・ルネサンス文学の開花によって、文語の規範化、普及が進んだ。ポーランド語は、スラブ語のなかではロシア語に次ぐ有力な文語で、とりわけ西欧文化の伝統を継ぐ優れたロマン主義詩人、リアリズム作家らによって、きわめて完成度の高い豊かな言語となった。

 ポーランド語はほかのスラブ語同様きわめて豊かな屈折をもつ。名詞型、代名詞=形容詞型、数詞型の曲用(屈折)をもち、格、数、性に従って語尾を変化させる。活用は、現在変化では人称と数、過去および合成未来変化では人称、数、性の範疇(はんちゅう)がかかわる。格は七つ、数は単・複、性は単数で男・女・中、複数で男性人間と女性事物に区別される。ほかのスラブ語が失った鼻母音の保存、アクセント語末から二番目の音節への固定、母音長短差異消滅、口蓋(こうがい)音t´、d´、r´の、c´、dz´、rzへの変化などがおもな特徴となっている。

[小原雅俊]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポーランド語」の意味・わかりやすい解説

ポーランド語
ポーランドご
Polish language

ポーランドの国語。ポーランド国外を含め,約 4800万人の話し手をもつ。スラブ語派の西スラブ語群に属する。単語は語末から2番目の音節に固定ストレスアクセントをもつ。鼻母音をもつことはチェコ語など他の西スラブ諸語にはみられない特徴である。まとまった文献が残っているのは 14世紀以後であるが,16世紀以来すぐれた文筆家が輩出し文章語が確立した。語彙にはチェコ語やドイツ語からの借用語が多くみられる。

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