日本大百科全書(ニッポニカ) 「タルスキー」の意味・わかりやすい解説
タルスキー
たるすきー
Alfred Tarski
(1901/1902―1983)
ポーランド生まれのアメリカの論理学者。ワルシャワ大学で、レスニエウスキーStanisław Leśniewski(1886―1939)、ルカシェービチに学ぶ。1945年アメリカに帰化、カリフォルニア大学教授を長く務めた。
モデル理論の創始者であり、とくにアメリカに移って以後、この方面で弟子を多数養成し、西海岸論理学界の大御所的存在になったが、若いときの彼を国際的に有名にしたのは、1931年に出版の『形式的言語における真理概念』である。この論文で、彼は、昔から有名だった「うそつきのパラドックス」を扱い、アリストテレス的な「表現と事態の一致」という真理概念を使う限り、メタ(高次)言語と対象言語を区別しなくては、このパラドックスを解決することはできないことを示した。決定可能性の問題、集合論の公理の関連の問題、とくに、到達不能数の問題、代数学の論理学への応用の問題など、彼が手がけて論文の形で業績を残している問題は数多い。著書に、若いころの成果を集めた『論理・意味論・メタ数学』(1956)などがある。
[吉田夏彦 2015年10月20日]