改訂新版 世界大百科事典 「ルテリエ」の意味・わかりやすい解説
ル・テリエ
Michel Le Tellier
生没年:1603-85
フランスの政治家。息子のルーボアとともにルイ14世の陸軍の強化に功績をあげた。平民の出身で,国王役人となり,宮内審査官のとき大法官セギエのもとでノルマンディーの農民一揆〈裸足の乱〉(1639)の調査にあたる。1640年にイタリア駐留フランス軍付きの監察官となったのを契機として,以後軍事行政に従事することになり,43年陸軍担当の国務卿に任ぜられた。61年ルイ14世の親政が始まると,士官職における売官制の制限など軍隊組織の近代化をはかり,一連の対外戦争に備えた。また,親政の当初より王国統治の最高決定機関である最高国務会議に参加,72年に息子のルーボアもこの会議のメンバーとして認められると,ル・テリエ一門はコルベール一族と並ぶ権勢を誇るようになった。77年より大法官となり,フォンテンブローの王令(プロテスタントに信仰の自由を認めたナントの王令の廃棄を定めた王令。1685年に発布された)を準備した。
執筆者:林田 伸一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報