知恵蔵 の解説
レオナルド・ディカプリオ
幼い頃から俳優を志す。10歳の時、タレント事務所から米国人になじみやすい「レニー・ウィリアムス」と名乗るよう助言を受けたが、これを拒否。13歳の頃からテレビコマーシャルや教育番組に多数出演するようになる。
91年、「クリッター3」で映画デビュー。90年代前半には、「ギルバート・グレイプ」(93年)で知的障害を持つ青年、「クイック&デッド」(95年)で悪徳保安官の息子のガンマン、そして「バスケットボール・ダイアリーズ」(95年)で薬物中毒患者と、多様な役を演じて力を付けた。93年の「ギルバート・グレイプ」ではアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。
一躍有名となった作品は「ロミオ+ジュリエット」(96年)で、ロミオ役を演じて97年のベルリン国際映画祭の銀熊賞 (男優賞)を受賞した。97年に主演した「タイタニック」は数多くの興行収入記録を塗り替える世界的大ヒットとなり、現在でも全世界収益21億9千万ドルで2位(1位は「アバター」)、日本国内総収入272億円で2位(1位は「千と千尋の神隠し」)の記録を保持。日本では「レオ様」と呼ばれて、多くの熱狂的ファンを生んだ。
「タイタニック」以降の映画出演では、控えめな役が多かったが、2002年には大物監督と組んだ「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(監督スティーブン・スピルバーグ)、「ギャング・オブ・ニューヨーク」(監督マーティン・スコセッシ)などで、再び脚光を浴びた。マーティン・スコセッシとは、現在に至るまで最も多くの作品を共に制作している。04年の「アビエイター」、「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」ではプロデューサーとして制作総指揮にも進出。06年の主演作「ディパーテッド」は英国アカデミー賞作品賞を受賞、同年に内戦が続く90年代のアフリカのシエラレオネを舞台に、ダイヤモンドの取引にまつわる国際問題を描く社会派作品である「ブラッド・ダイヤモンド」で、アカデミー賞主演男優賞やゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされた。13年1月に映画出演の休養を宣言したが、その後否定している。経済誌「フォーブス(Forbes)」によると、10年5月から1年間の収入ランキングで、推定7700万ドルの俳優部門第1位、最新の13年6月から1年間のランキングでも、3900万ドルで同4位。
熱心な環境保護活動家としても知られ、ドキュメンタリー映画の制作などに携わる他、1998年に設立した環境保護財団「レオナルド・ディカプリオ基金」を通じて、「生物多様性の保護」、「海洋および森林の保全」、「気候変動」に取り組んでいる。14年9月16日、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長から気候変動問題に取り組む国連平和大使(ピース・メッセンジャー)に任命された。同21日、31万人が参加してニューヨークで行われた地球温暖化対策を訴えるデモには、潘事務総長らと共に列に加わり、23日に国連本部で開催された気候変動サミットでは、120カ国あまりの各国首脳に向けて開幕演説を行った。
(葛西奈津子 フリーランスライター/2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報