日本大百科全書(ニッポニカ) 「レサマ・リマ」の意味・わかりやすい解説
レサマ・リマ
れさまりま
José Lezama Lima
(1912―1976)
キューバの詩人、小説家。バチスタ独裁政権下、『ナルシスの死』(1937)、『敵なるざわめき』(1941)、『不変』(1949)など、ゴンゴラ、ケベード、バレリー、マラルメらの影響が顕著な詩集を発表。1959年のキューバ革命により国家文化評議会文学および出版部部長に任命される。主人公ホセ・セミの誕生から彼が詩に目覚めるまでをバロック的文体で描き、手法的にはジョイスの『ユリシーズ』に比較される一種の教養小説『楽園(パラディソ)』(1966)で国際的名声を得るが、同性愛の露骨な描写が問題視されたためか当局からは以後冷遇される。死後、前書の続編ともいうべき『オッピアーノ・リカリオ』(1977)が出版された。
[安藤哲行]
『井上義一訳『断頭遊戯』(『ラテンアメリカ怪談集』所収・河出文庫)』