ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロジェール2世」の意味・わかりやすい解説
ロジェール2世
ロジェールにせい
Roger II
[没]1154.2.26. パレルモ
シチリア王 (在位 1130~54) 。シチリア伯ロジェール1世の子。父が 1101年に没したあと母アデライデがシチリアを統治し,みずからは 1113年にシチリア伯となった。 1122年に南イタリア征服を開始,1127年にアプリア公となる。 1130年教皇ホノリウス2世が没すると,教皇インノケンチウス2世に対して対立教皇アナクレツス2世を支持し,シチリア,カラブリア,アプリアの王号を得た。これに対してインノケンチウス2世,神聖ローマ皇帝ロタール2世,ビザンチン皇帝ヨハネス2世,フランス王ルイ6世らは連合してロジェールの勢力伸長を押さえにかかり,9年にわたる戦争が始まった。この戦いでロジェールは勝利を収めて,1139年インノケンチウス2世に先の王号を正式に認めさせ,同時にナポリとカプアをも支配下に置いた。このあとロジェールは,トリポリからチュニジアにいたる海岸線とケルキラ島の占領に成功し,さらにコンスタンチノープルを脅かすまでにいたった。ロジェールは王国を封建制に基づいて組織したが,同時に中央集権的な王権の確立にも成功し,また文芸の保護にも熱意を示し,シチリア文化の基礎を築いた。
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